カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

第二十一夜・麦を踏む

2017-07-03 22:59:05 | 百人一首と色名で百物語
たかあきで『降れる白雪』と『草色』を使って創作してください。

 麦踏みのようなモノだと、常に親父は俺に言っていた。麦の芽は霜柱の浮きを防いで根張りをよくするために丁寧に踏まなければならないのだと。そうすることで徒長すること無く頑丈に育つのだと。
 そうやって物理的な意味で踏みにじられ続けながら育った俺は成長したある日、とうとう耐え兼ねて親父を同じ目に遭わせ、その結果として親父は死んだ。
 麦を踏むのは新芽の頃だけで後は苗の成長に任せると俺が知った時には、全ての取り返しが付かなくなっていたのだ。
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