カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

第二十六夜・群青色の似合うお月様

2017-07-10 18:35:25 | 百人一首と色名で百物語
たかあきで『いでし月かも』と『群青色』を使って創作してください。

 長患いの末に亡くなった父さんの胸から出て来たのは銀色の光球だった。病のせいか所々が黒くくすんでいたが、それが却ってお月様のような陰影を与えていて、僕は言葉もなく「お月様」が天に昇っていく様を見詰めていた。不思議なことに父さんに取りすがって泣いていた母さんは、そんなものは見えなかったと言う。
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