カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

第四十四夜・止まらない血

2017-08-03 23:56:30 | 百人一首と色名で百物語
 彼は笑顔で心のままに振る舞う。他人がその振る舞いについてどう感じるか、正確には私がどう感じるか、彼は決して考えたりはしない。だから流れ出る私の血が止まることはなく、私は彼から離れるしかなかった。ただ、別に同じ傷を負って貰いたい訳ではなかったのに、どうして今、彼は私の目前で斃れているのだろう。
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