カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

[ 鬱屈 / 糸車 / 女教皇(プリエステス) ] より・彼女は、いばら姫

2015-07-03 18:59:11 | 三題ランダムキーワード
 昔読んだ「いばら姫もしくは眠り姫」というグリム童話を基にした物語は、事もあろうに母親の恋人だった森番の男とただならぬ関係に陥ってしまうお姫様の話で、後に現れた「魔女が姫にかけた紡錘(つむ)に関わる呪い」を知る求婚者の中で、姫がどういう紡錘(つむ)で突かれたのかをしつこく尋ねた輩に、逆に相手の紡錘の形を聞き返したせいで「いばら姫」と呼ばれるようになっていた。

 まあ、そりゃ普通「いばら姫」と呼ばれるだろうなと本気で思った。
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[ 恥らう / チョコレート / 審判(ジャッジメント) ] より・さよなら、初めての恋

2015-07-02 20:43:40 | 三題ランダムキーワード
 後輩の女の子が頬を染めながら受け取ってくださいと差し出してきたチョコを俺は家に帰ってから嬉々として貪り喰らい、結果として救急車で病院に搬送されて一週間ほど苦しむことになった。
 どうもアレルギーだったらしいが、チョコの材料に魚卵アレルギーを発症させるようなものは存在しただろうかと悩んでいたら、何か隠し味にタラコを使ったらしい。道理で何かプチプチした食感だった訳だ。

 結局、例え悪気が有っても無くても許容出来ないことがあると言う理由で、僕は後輩に別れを告げた。
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[ 泳ぐ / 空 / 節制(テンパランス) ] より・それは空魚

2015-07-01 21:40:31 | 三題ランダムキーワード
 節約に節訳を重ねて貯めたお金で空魚を買った。
 空魚は美しい姿をした文字通り空中を泳ぐ魚で、飼育はともかく飼い続けるのがとても難しいと言う話だった。
 専用の餌をやる以外はただ室内を泳がせておけば良いだけなので何がそんなに難しいのだろと思っていたら、ある日閉め忘れた窓から出て行ってしまい、慌てて手を伸ばしたがそのまま飛び去ってしまった。

 結局僕の空魚は帰ってこなかったが、あの日の空を泳ぐ姿をまた見たくて、僕は再び貯蓄に励んでいる。
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