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松江市教委の「はだしのゲン」貸し出し禁止要請が議論呼ぶ

2013年08月17日 | 漫画
昨年亡くなった中沢啓治さんが、自らの被爆体験を基に描いた漫画『はだしのゲン』。

公立の小中学校の図書館に必ず置いてある定番の「原爆図書」だが
この『ゲン』に対し、「描写が過激だ」として島根県松江市教育委員会が
昨年12月に市内の全小中学校に対して、
教師の許可なく自由に閲覧できない閉架措置を求め、それに全校が
応じていたことが分かった。
児童生徒への貸し出し禁止も要請しており、現在『はだしのゲン』を
出版している汐文社は「学校現場でのこうした措置は聞いたことがない」と
コメントしている・・・との事。



『ゲン』は1973年に週刊少年ジャンプ(!)で連載が始まり、
87年に第1部が完結。
原爆被害を伝える作品として教育現場で広く活用され、約20カ国語に翻訳されている。

松江市には、まず昨年8月に市民の一部から「間違った歴史認識を植え付ける」として
学校図書室から撤去を求める陳情が市議会に提出され、同12月に不採択とされた。

しかし、市教委が内容を再度確認し「旧日本軍がアジアの人々の首を切ったり
女性への性的な乱暴シーンが小中学生には過激」と判断し、その月の校長会で
ゲンを閉架措置とし、できるだけ貸し出さないよう口頭で求めたとのこと。

結果、現在『ゲン』全10巻を保有している市内の小中学校で全て
閉架措置が取られている。
同市の副教育長は「平和教育として非常に重要な教材。教員の指導で読んだり
授業で使うのは問題ないが、過激なシーンを判断の付かない小中学生が
自由に持ち出して見るのは不適切と判断した」とコメント。

これに対して、原作に忠実な再版を行っていると言われる汐文社の社長は
「原爆の悲惨さを子供に知ってもらいたいと描かれた作品。
閉架で風化しないか心配だ。こんな悲しいことはない」と訴え、

漫画研究者からも「作品が海外から注目されている中で市教委の判断は
逆行している。『ゲン』は図書館や学校で初めて手にした人が多い。
機会が失われる影響を考えてほしい。代わりにどんな方法で戦争や原爆の
記憶を継承していくというのか」と意見表明。

中沢啓治氏の遺族も「残念」とコメント、
ネット上からも「やりすぎ」の声があがり。

NHKもニュースで取り上げるなど波紋は広がっている。



我が家の近くの学校にもあるもんなぁ『はだしのゲン』。
個人的には「グロい場面も多いから、小学校低学年にはキツイだろう」とは思う。
4年生以上から閲覧可能にすれば良い・・・と。

中学生以上は・・・もちろん自由に見てイイでしょう。
もっと刺激の強いモノがネットで見れるんだし、そんなのは自分や保護者が判断すれば良い。

ただ、気になるトコロがあるんだよな。

松江市の鶴の一声で一斉に小中学校が従ってしまった事とか。
(情けねぇなあ・・・)

最初のキッカケが「市民の一部から『間違った歴史認識を植え付ける』という抗議があった」というくだり・・・とか。

被爆した経験上、中沢氏の根底には「反戦」「反核」の意思が満ちているし、
「反天皇」の意識さえ見える。大戦時の軍部批判もあるし、中国での虐殺も事実として
取り上げている。

それが「自虐的で、間違った歴史認識だ」「そういう書籍を小中学生が読むのは好ましくない」と思った一部市民が、松江市に対して抗議したって事でしょう?

ワタシャ大日本帝国に関しては「高い理想を掲げたけど最後はグダグダになり、終いにゃ自国もアジアも荒らしてしまった」と考えておりまして
それを「自虐」と言われちゃそれっきりだが、中国での虐殺も数の問題はあれど「やったのではないか?」とは思っております。
~というか、戦時下なら日本じゃなくても有り得る事でしょうし。
中国は政治に利用しようと未だに数を水増しして反日教育の道具にしているんだろうし、そんな戯言に付き合うのもアホらしいと思うのですよ。

中国や韓国が警戒する「日本の右傾化」ですが、
今回の『ゲン』狩りも右傾の現れだと、彼らに警戒されるかも知れませんね。
途中で問題が「残酷表現」にすりかえられてるけど。

さらに「原発再起動の機運を妨げる有害図書として敵視されたのでは?」なんて憶測も飛んだりして
そんな意味でも波紋は広がっている。

まぁ、「原爆の悲惨さを知らせる教科書的マンガ」とも言われるけど
単純にマンガとして面白いからね。特にジャンプで連載されてた頃は。

以前も書いたけど
主人公はアホな替え歌ばっかり歌ってるし、すぐフルチンになるし、
シモネタ応酬して「ギャハハハ」みたいなシーン多いし。
(意外とこっちが出版サイドの規制にあったそうな)
悪いババァは肥溜めに落とされるし。

そういう意味じゃ、
「教育的監置から学校図書館に置かれる」という幸運に恵まれた面白マンガ
・・・とも言える『はだしのゲン』

せめて小学校高学年からは自由閲覧にしてほしい・・・・と思います。
松江市は方針を改める気はないようですが、なんとか「閉架」は再考を願いたいですなぁ。