諸星大二郎さんの「妖怪ハンター」も掲載誌は週刊少年ジャンプ(増刊号)だもんね・・・。
前回、画像だけ紹介した「生命の木」も、
「こんな漫画を少年誌に載せていいのか?」と思わせるほど凄い物でした。
諸星さん本人も
「昔、こんな常軌を逸したようなストーリーの漫画を、少年誌に描いていいのだろうかと思いながら、それでも描いてしまった」と語っている程です。
主人公は、異端の考古学者・稗田礼二郎。
妖怪の実在を研究論文で説き、学会を追放になった人物で、見た目は黒く長いストレートヘア、黒いスーツ。
若いが、殆ど笑わない静かな男。
「怪奇大作戦」の主人公を演じた岸田森に通じる雰囲気を感じます。
「生命の木」の舞台は東北の山奥。かつて隠れキリシタンの里だった小村。
「はなれ」と呼ばれる集落には、独自の創世記が伝わっている。
太古、楽園で暮らしていたが、禁断の果実を食べた咎で「でうす」の怒りを買い、楽園を追われた人間の話。
「じゅすへる」という人物は、生命の木の実を食べたとして、その子孫は神と同様に不死身となった。
神は「いんへるの」を開き、
「じゅすへる」の子孫は生まれてから一定後に落され、「きりんと」が来る日まで
尽きぬ苦しみを味わうのだという。
地元のカトリック教会の神父と共に訪れた稗田礼二郎。
村に着いても何故か人の気配がない。一人だけ残っていた老人に尋ねても、
「いんへるの、いっただ・・・」と答えるばかり。
3日前、この村では殺人事件が発生し、殺された善次という男は十字架上で磔にされていた。
神父は善次の死体を十字架から降ろし、十字架を処分しており、それを秘密にしていたのだ。
村の奥の洞窟にたどりついた碑田たち。
ボロボロの布を纏った「三じゅわん様」と呼ばれる奇妙な3人の男が現れ、
指差す先には「いんへるの」と呼ばれる地の穴があった。
そこに蠢く数限りない亡者の群れ・・・。
彼らを救う救世主。それが、「ぜずさま」と呼ばれる存在。
輝く光とともに、十字架に掛けられて殺されたはずの善次が現れた。
彼は死亡から3日後に復活したのだ!
神父は「うそだ!神はただ一人だ!この悪魔!」と叫びながら善次に掴みかかるが
光に打たれたように、その場で倒れてしまう。
救世主・善次は「いんへるの」で、うごめく人々に、
「おらと いっしょに ぱらいそさ いくだ!」と呼びかけ
じゅへるすの子孫たちと共に天へ上っていくのだった・・・。
いやぁ、久々に粗筋をネットで調べて凄さを再認識できた。
よくも、このようなストーリーを考え作り上げたモノだ。
そして、よくも掲載したモノだ。
諸星作品では、「暗黒神話」も舞台は現代なれど古墳や神器が登場する、まさに神話モノだったし。
主人公は「生まれ変わり」で、終末には弥勒も登場する物語だったし。
古墳の石棺カプセルから現れた古代のヒメが甦るも
保存が充分じゃなかった為に「ズルリ」と解けて、
それでも主人公の名を呼ぶ姿が不憫で・・・。
もう、トラウマもののショックで御座いました。
※でも、不思議と怖さは無いんだよなぁ。
他の妖怪もそうだけど、乾いた筆致がそうさせるのかなぁ・・・。
「暗黒神話」は、やがて馬頭観音や馬頭星雲まで登場
アートマン、ブラフマンなんて名称まで現れて
古代から宇宙へ、そして未来へとストーリーは拡大する。
最終回は世界の終末。
主人公は弥勒になったのか?
ある意味「デビルマン」のラストシーンより凄い。
これまた、よく少年誌に載せたという作品だ。
以前、当ブログで取り上げた
星野之宣さんの「カルネアデス計画」しかり
編集部もエラかったというか・・・。
少年ジャンプじゃ、手塚治虫先生の「ライオンブックス・シリーズ」という読み切り掲載もあって
現代の行き場を無くした妖怪の共同生活を描く「マンションOBA」とか
自分の羽2本を軽く頭に挿して遊んでたら「耳のあるカラスがいる!」と
メディアから話題にされイイ気になってしまう「耳烏」とかが私は大好きだったが
やっぱり「こんなの子供が読んでイイのか?」と思いながら食い入るように見てしまったのが
「コラープス」という古代ヨーロッパの抒情詩的な作品。
登場人物は、まずリディアの将軍ニキアス。
そして、リディア進軍の途中でニキアスに強奪された女奴隷ヘラ。
親族を殺され、姉を奪われ、ニキアスへの復習を誓うサラン。
傲慢で蛮勇な将軍・ニキアスは、祈祷女の言葉に耳を貸さず、ある敵城を攻撃したが
1年経っても持ちこたえられ、自軍はコレラと食糧不足が深刻となり始めた。
悩むニキアスの身の回りを世話するヘラ。
当初はニキアスの隙を見計らって刃物を振るおうとしたが、
いつの間にか、気持ちはニキアスの元に移っていた。
ヘラの弟サランは、自族の神へ祈り、その名を叫ぶ。
そして、ある日
大地を覆うほどのネズミの大群がリディア軍に押し寄せてくる。
ヘラはニキアスを守ろうとするが、ネズミの大群に流され、白骨と化す。
全滅した軍の中、「オーディーン」と叫び歩く独りの少年がいた・・・。
手塚先生は「後の英考古学者が発掘した古代譚」として
限りなく争う愚かなもの=人間を描いたのだろう。
神の目を持つ表現者ならでは・・・の救いようのない話。
しかし、これが魅力的だったんだよねぇ・・・。
なんつうか、ドキドキさせられたのよ。
ニキアスとヘラの関係も、モロ性的だったし。
そっちの意味でも「コドモが読んでイイの?」と言う作品。
当時の表現者、出版社の方々に感謝・・・であります。
前回、画像だけ紹介した「生命の木」も、
「こんな漫画を少年誌に載せていいのか?」と思わせるほど凄い物でした。
諸星さん本人も
「昔、こんな常軌を逸したようなストーリーの漫画を、少年誌に描いていいのだろうかと思いながら、それでも描いてしまった」と語っている程です。
主人公は、異端の考古学者・稗田礼二郎。
妖怪の実在を研究論文で説き、学会を追放になった人物で、見た目は黒く長いストレートヘア、黒いスーツ。
若いが、殆ど笑わない静かな男。
「怪奇大作戦」の主人公を演じた岸田森に通じる雰囲気を感じます。
「生命の木」の舞台は東北の山奥。かつて隠れキリシタンの里だった小村。
「はなれ」と呼ばれる集落には、独自の創世記が伝わっている。
太古、楽園で暮らしていたが、禁断の果実を食べた咎で「でうす」の怒りを買い、楽園を追われた人間の話。
「じゅすへる」という人物は、生命の木の実を食べたとして、その子孫は神と同様に不死身となった。
神は「いんへるの」を開き、
「じゅすへる」の子孫は生まれてから一定後に落され、「きりんと」が来る日まで
尽きぬ苦しみを味わうのだという。
地元のカトリック教会の神父と共に訪れた稗田礼二郎。
村に着いても何故か人の気配がない。一人だけ残っていた老人に尋ねても、
「いんへるの、いっただ・・・」と答えるばかり。
3日前、この村では殺人事件が発生し、殺された善次という男は十字架上で磔にされていた。
神父は善次の死体を十字架から降ろし、十字架を処分しており、それを秘密にしていたのだ。
村の奥の洞窟にたどりついた碑田たち。
ボロボロの布を纏った「三じゅわん様」と呼ばれる奇妙な3人の男が現れ、
指差す先には「いんへるの」と呼ばれる地の穴があった。
そこに蠢く数限りない亡者の群れ・・・。
彼らを救う救世主。それが、「ぜずさま」と呼ばれる存在。
輝く光とともに、十字架に掛けられて殺されたはずの善次が現れた。
彼は死亡から3日後に復活したのだ!
神父は「うそだ!神はただ一人だ!この悪魔!」と叫びながら善次に掴みかかるが
光に打たれたように、その場で倒れてしまう。
救世主・善次は「いんへるの」で、うごめく人々に、
「おらと いっしょに ぱらいそさ いくだ!」と呼びかけ
じゅへるすの子孫たちと共に天へ上っていくのだった・・・。
いやぁ、久々に粗筋をネットで調べて凄さを再認識できた。
よくも、このようなストーリーを考え作り上げたモノだ。
そして、よくも掲載したモノだ。
諸星作品では、「暗黒神話」も舞台は現代なれど古墳や神器が登場する、まさに神話モノだったし。
主人公は「生まれ変わり」で、終末には弥勒も登場する物語だったし。
古墳の石棺カプセルから現れた古代のヒメが甦るも
保存が充分じゃなかった為に「ズルリ」と解けて、
それでも主人公の名を呼ぶ姿が不憫で・・・。
もう、トラウマもののショックで御座いました。
※でも、不思議と怖さは無いんだよなぁ。
他の妖怪もそうだけど、乾いた筆致がそうさせるのかなぁ・・・。
「暗黒神話」は、やがて馬頭観音や馬頭星雲まで登場
アートマン、ブラフマンなんて名称まで現れて
古代から宇宙へ、そして未来へとストーリーは拡大する。
最終回は世界の終末。
主人公は弥勒になったのか?
ある意味「デビルマン」のラストシーンより凄い。
これまた、よく少年誌に載せたという作品だ。
以前、当ブログで取り上げた
星野之宣さんの「カルネアデス計画」しかり
編集部もエラかったというか・・・。
少年ジャンプじゃ、手塚治虫先生の「ライオンブックス・シリーズ」という読み切り掲載もあって
現代の行き場を無くした妖怪の共同生活を描く「マンションOBA」とか
自分の羽2本を軽く頭に挿して遊んでたら「耳のあるカラスがいる!」と
メディアから話題にされイイ気になってしまう「耳烏」とかが私は大好きだったが
やっぱり「こんなの子供が読んでイイのか?」と思いながら食い入るように見てしまったのが
「コラープス」という古代ヨーロッパの抒情詩的な作品。
登場人物は、まずリディアの将軍ニキアス。
そして、リディア進軍の途中でニキアスに強奪された女奴隷ヘラ。
親族を殺され、姉を奪われ、ニキアスへの復習を誓うサラン。
傲慢で蛮勇な将軍・ニキアスは、祈祷女の言葉に耳を貸さず、ある敵城を攻撃したが
1年経っても持ちこたえられ、自軍はコレラと食糧不足が深刻となり始めた。
悩むニキアスの身の回りを世話するヘラ。
当初はニキアスの隙を見計らって刃物を振るおうとしたが、
いつの間にか、気持ちはニキアスの元に移っていた。
ヘラの弟サランは、自族の神へ祈り、その名を叫ぶ。
そして、ある日
大地を覆うほどのネズミの大群がリディア軍に押し寄せてくる。
ヘラはニキアスを守ろうとするが、ネズミの大群に流され、白骨と化す。
全滅した軍の中、「オーディーン」と叫び歩く独りの少年がいた・・・。
手塚先生は「後の英考古学者が発掘した古代譚」として
限りなく争う愚かなもの=人間を描いたのだろう。
神の目を持つ表現者ならでは・・・の救いようのない話。
しかし、これが魅力的だったんだよねぇ・・・。
なんつうか、ドキドキさせられたのよ。
ニキアスとヘラの関係も、モロ性的だったし。
そっちの意味でも「コドモが読んでイイの?」と言う作品。
当時の表現者、出版社の方々に感謝・・・であります。