あるBOX(改)

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甘やかされなかった我々

2013年11月28日 | 漫画
少年ジャンプ編集部は、子供にショックを与えるのが楽しくて仕方なかったんじゃないか・・・と思わせる連載を次々と放ってきた。

わが心の名作、「ワースト」(小室孝太郎著)
朝日ソノラマ刊で単行本も再発されたSF巨編は、トワイライトゾーンやウルトラQの余韻が残る1970年「週刊少年ジャンプ」に連載された。



あらすじは、こうだ。
ある日、世界中の全ての場所で3日降り続く大雨があった。
不良少年・鋭二は、追っ手から隠れて雨に濡れる事なく4日目に外に出るが
首都・東京には人の姿は無かった。
いたのは「ワーストマン」という、不気味な怪物たち。人間を食らうワーストマンは不死身の化物。
齧られただけで人間はワーストマンに変わってしまう。



小さな悪ガキ=卓や、米兵ハリーも加わり、残った人間が力を合わせてサバイバルを試みる。
残されたわずかな人類と、ワーストマンの壮絶で長い戦いが始まった。

・・・手塚治虫のアシスタントだった作者が放った一世一代の傑作。
師匠直系の絵と、巧みなストーリー展開で読ませてしまう。

なんと、驚く事に「第一部の完結」では主人公が絶命してしまう。
子供を救い、卓に後を託し、「学べ。やつらが何物かを知るんだ」と言い残す鋭二。
これはショックだった。
主人公が死んで、代替わりする漫画ってありか?



卓は成長して科学者となり、対ワーストマンの第一人者となる。
第3部では老人となった卓が、人類のリーダーとしてワーストマンを滅ぼす鍵を掴む。
その時には「もう一つの最悪の事態」が始まっていた。
最後に生き残るのは人類か、ワーストマンか?

そういや、手塚先生の「コラープス」は崩壊という意味だったな。
表紙絵とかないかな~と画像検索したら、「顔面崩壊」のグロ写真とか出てきて参った。
だからネットは嫌なんだ。皆さん気をつけましょう。

・・・とにかく
傑作なんですよ「ワースト」は。
ハリウッドも微妙な日本ネタ取り上げてる暇あったら、こういう作品に目を向けて欲しいですなぁ。



そして、読者にショックといえば、
広島の原爆被害を描いた「はだしのゲン」。

これもエグかったが、なぜか「目を逸らしてはいかん」と自分で思って読み切った。ジャンプ連載分までは。



「デロリンマン」は奇才ジョージ秋山が世に問うた醜い聖人の物語。
ただただ苦難の道を強いられる無力の人・デロリンマンと、
「オロカモノめ!力の無い正義など役に立たない」と言い放つ強者・オロカメン。
デロリンマンの言動が物悲しかった。



「荒野の少年イサム」も、登場人物の黒人ガンマン=ビッグストーンが「これでもか」と差別されるシーンあり。
その中で銃を取るビッグストーンの格好よさが際立った。
いい悪いより「差別の存在」を知ることが出来た。
そしてビッグストーンはカッコ良かった。
※昔は黒人が楽器持って演奏するだけで銃で狙われたらしいから
 ビッグストーンのような存在は完全にフィクションだと
 思いますがね・・・。
ホント、ただの西部冒険劇じゃなかったんだよな、「イサム」は。



望月三起也も「ジャパッシュ」で、日本征服を狙う高校生(美少年)を描いてた。
ピカレスクロマンを少年誌でやるカッコよさよ・・・。

本当に、よく少年誌に掲載してくれました。
甘やかしてくれませんでしたよ。
「子供なんて、これくらいの話を作っときゃ面白がるだろう」なんて
軽く見られちゃいなかったんですよね。

改めて漫画家の皆様、編集部の皆様に感謝いたします。