あるBOX(改)

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荒川仁人の勇敢なチャレンジ

2014年03月15日 | ボクシング
3月9日、ラスベガスのMGMグランドガーデン・アリーナという大舞台で日本のジム所属選手同士がWBCライト級挑戦者決定戦を行った。

サウル・アルバレスvsアルフレド・アングロ戦をメインとした大興行のアンダーカードゆえ試合報酬も世界戦並だったという。

対戦したのは、WBC同級5位のホルヘ・リナレスと、2位の荒川仁人。

リナレスは3階級制覇への足掛かりとなる試合。
荒川は、一度敗れた王者オマール・フィゲロアへの再挑戦のチャンスを得るため、意義ある試合だった。

ただ試合は、ほぼ予想通りの展開。

ランキングこそ5位だが、実績では荒川を大きく上回るリナレスが、持ち前のスピードとテクニックで前半から優位に立つ。

一方の荒川は被弾しながらも粘って打ち返し、決して打たれ強くないリナレスの顎を狙うが、ポイントは奪われ続けた。

直前試合でフランシスコ・コントラレスから痛烈な初回を飾っているリナレスだったが、荒川は頑張って耐え、試合は判定へ。
※これだけでも驚異的・・・か。

結果的には、ジャッジ2人がリナレスにフルマークを与える3-0の大差判定となった。

ただ、昨年のフィゲロア戦に続きて本場アメリカで勇敢な戦いを見せた荒川には、現地メディアも好意的だったとか。
※フィゲロア戦の後、荒井がインタビューの締めで「サンアントーニオー!」と叫んだ時の
 会場リアクションも凄かったよなぁ・・・

海外で何度も世界戦のチャンスが訪れた石田順裕は、米国リングでホープのカークランドを初回KOしたインパクトが買われた事がキッカケだったし
やはり、試合で「商品価値」を示せば、あちらのプロモーターも使ってくれると言う事だろう。

※石田に関しては、元Sスター候補のP・ウィリアムズと戦ってダメージ少なく試合を
 終えた事も続く世界戦への要因になった気がする。
 他の世界王者が「ウィリアムズが倒せなかった石田を倒せば自分の格が上がる」と
 目論んだんだろう。

西岡利晃など「アジアの同胞」の好意もあってか、不可能と言われたラスベガスでのドネア戦まで実現させてしまった。

そういった積み重ねも忘れてはならないだろうが
ベネズエラ人とはいえ帝拳ジムに所属し日本で育ったリナレスと、生粋の日本選手の荒川が、ラスベガスのMGMグランドガーデンの大アリーナで戦うなんて、実に感無量だ。

※正直、西岡vsラファエル・マルケス戦は勝ったものの、相手の力が落ちてたし、
 会場の照明も暗かったし、「TEIKEN IN ラスベガス」的な印象が拭えなかったからなぁ・・・

リナレスとの対戦にも、「強い相手だからこそ価値がある」と試合前の専門誌インタビューで語っていた荒井。
素晴らしい心意気で、そのスピリットは称えても称え切れないくらいだ。

戦術的にも冷静にリナレスの事を分析してたし、勝つイメージを持ってリングに上がった訳だが、
それでも完敗となってしまった。

石田も荒川も、日本国内では技巧派としても鳴らし、「打たせない選手」だからこそ
海外の舞台でも酷く打たれる事なく(採点でこそ大差を付けられながらも)評価される結果を残してるのだろう。
※西岡もR・マルケスの強打を躱し続けたし、ドネア戦でも「ここと言う時」以外は
 食わずに済ませていた。

ただし、海外のトップは「それを上回る」攻防を仕掛けてくるワケで、どうしても「頑張り止まり」「善戦どまり」に終わってしまう。

荒川が最初に戦ったフィゲロアも、人気こそあるが、ワイドオープン気味でパンチも左右フックを外から振ってくる印象で
セコンドの「ストレート真ん中から!」という指示通りにシャープなワンツーを要所で突けば、もっとポイントも取れたように思えた。

また、
アウトボックスの上手い石田は「勝つために」ファイター気味の戦術を取ったが、彼の持ち味を失ったような気もした。

強打者ではない荒川が無理に強振すれば、技巧のボクシングが崩れてしまう危険性もある。
※要所で下がり、踏み込む距離を作ってワンツーを打つとか、必要だろうなぁ

とにかく、日本選手の足掛かりと実績は残った。
あとは、「勇敢さを称えられる」だけではなく、結果を残す事だ。

せっかくの素晴らしい挑戦だけに、なんとか「勝利」という最高の見返りを得て欲しい。
切にそう思います。