あるBOX(改)

ボクシング、70年代ロック、ヲタ系、日々の出来事などをウダウダと・・・

「ゆきゆきて、神軍 / 公開30年記念上映」に行く(4)

2017年08月15日 | サブカル
「あの人たち嘘ついてたんですよね!」

・・・えりさんの熱弁は続く。
トークショーは1時間超過しようとしていた。



ここでUPLINKスタッフさんが袖から「え~、そろそろ
お時間が・・・」と声掛け。

えりさんは「えっ?各自、終電前に帰って良しじゃ
なかったの!?」

客席、大笑い。
当初、基本1時間と説明あったような。

えりさん「なんだ~、私ず~っと喋る気だったわよ。
事情ある人は途中退場して貰う感じで」

監督「融通が利かないんですよ」

えりさん「じゃあ最後に監督に質問あるって人!」
監督「いや、それやると本当に終わらないので」



おもしろい。
凄いイベントなのに上映中から結構笑った。

えりさん「私たちの活動告知とかは?やって大丈夫?」
スタッフさん「もちろん、どうぞ」

えりさんは演劇の予定と歌手活動(!)の告知。
監督の持つマイクが限りなく卓上に近づいているのを
見つけ、「終わろうとしてるでしょ!」

凄い(笑)。
この人を何時間も問い詰めた人が居るなんて、演劇界は
なんて怖いところなんでしょう!



えりさんに促され、「次」を語り始めた原一男監督。
『ニッポン国泉南石綿(アスベスト)村 ~劇場版 命て
なんぼなん?~』の告知に場内から拍手が起きる。

アスベストの人体に対する危険性を知りながら、その
規制を怠ったとして、国の責任を問う被害者と、その
裁判を8年に渡り追い続けたドキュメンタリー映画。

上映時間は・・・3時間半!!(休憩含む)
思わず笑ってしまったが、8年の年月を撮ったのだ。

10月に山形のドキュメンタリー映画祭で上映される
との事。

告知が終わって、やっと監督のマイクがテーブルに
置かれた。



映画の面白さを何倍も増幅させるトークショー。

えりさんは、まだまだ喋れる雰囲気。
監督も「時間無制限と言われて3時間以上喋った事が
あります」。

凄いイベントでした。
そうそう、監督に「初めて見る人」と尋ねられて、
結構な数の人が手を上げていたな。

「2回以上」で私は挙手。
「30年前に見た人!」で手を上げ掛けたが、劇場じゃ
なくてレンタルビデオが出て直ぐだったから、何か
自信なくなってストップ。

監督からは「2回でも足りない」オーラが出まくって
たから、次の機会があったら、また見よう。

ぜひ今回同様に原一男監督登場のトークショー付き
イベントでね!

「ゆきゆきて、神軍 / 公開30年記念上映」に行く(3)

2017年08月15日 | サブカル
一時間を予定するトークショーは、実に濃密な「やりとり」が
行われた。

何と言っても相手は渡辺えりさんです。
その人が原一男監督に質問・疑問をぶつけるのだ。次々と。

まずは久々に観た感想。
昔は「もっと追求しろ!」と思いながら観たが、年齢を重ねると
責められる側の立場になって考えてしまう。

自分も極限状態では加害者になる可能性もある。
そして、被害者になる可能性も…。



続いて、奥崎謙三という人物について。

※監督は終始「奥崎さん」と呼んでいたが、当ブログでは以降
 敬称略とさせていただきます。

①その狂気
追求が、かなり理詰め。

むかし演劇仲間で「そのテの人」がおり、電話で何時間にも
及んで追求された事がある。

そのトラウマが蘇った…と。
※えりさんは「攻める側」と思ったが、逆があったのか…



②暴力について。
軍隊生活で擦り込まれ、戦後も抜けなかったのではないか?
上官を殴り、その結果最前線から離され、終戦前には捕虜として
生き残った奥崎。
※捕虜になるのには何の抵抗も無かった模様

「世のためになる暴力なら大いにふるう」という矛盾した言葉。

原一男監督は「ただ感情に流されたものではない。暴力の効果を
(本能的にか)知り尽くしていたと思う」。

ただ殴ること、痛めつけることが目的では無い。
「それ」によってトリガーが解き放たれる。それを知っている…。

③撮影者の姿勢
「奥崎が暴力をふるう時、止めようとは思わなかったのか?」
→止めるわけがない!そこでカメラを回すのが自分たちだ。



④奥崎との関係
「面識あったのか?」
→今村昌平監督の紹介。すでに今村監督が裁判段階で取り上げる積り
だったが頓挫していた。

助監督時代に「ドキュメンタリーを撮りたい」と今村監督に直訴した
原一男氏に「ちょうど良い人物がいる」と紹介されたのが…彼!!

※私もカンヌ監督の今村氏の影響は大きいとは思った。
 最初観た時から「今村昌平さんの名前がなければ、このような
 テーマの作品上映は難しいのではないのか」と思った程です…

奥崎も、その威光を喜んでいた様子。

ただし、当時60歳代の奥崎と40歳代の原一男監督。
終始、若造扱いカメラマン扱い。
後半はスタッフ一同、彼の我侭に怒りを覚えていたそうな。

※一度、原一男監督がキレて見せた事があったが、何十倍にも
 なって帰ってきて、その凄まじいエネルギーに「こりゃ勝てんわ」
 …と諦めてしまったそうな…。

⑤なぜ被害者の弟妹は途中で別行動を取ったのか?
訪ねた先で奥崎が見せる前口上(自慢話)に辟易したから。
実は「そういうトコロ」は編集で相当切っている。

⑥上記2名や訪れた先の家族は映画公開後なにか言っていたか?
→何の接触も無いから分からない。
そもそも撮影後は1度も会っていない。既に亡くなっている人も
多いだろう。



⑦編集について
奥崎の「世のためなら暴力も…」のシーンを使うかどうかで
編集マンとは相当に揉めた。
しかし絶対に必要と思い、残した。
※②に続く

実際の奥崎は発言も相当にメチャクチャで。編集で繋ぎ合わせて
彼の主張の整合性を作り上げた部分もある。

彼の人格の複雑さは一度観ただけでは分からない。
暴力や狂気も含めて。

⑧ドキュメンタリーとは
えりさんは「自分がTVドキュメンタリーで海外取材した時は、
真面目に社会問題を語ったのに全てカットされていた。
ただの愉快なオバサンになっていた」と自虐的コメント。

原一男監督が「ドキュメンタリーはフィクションである」と
いうのは世界の共通の認識になっています…と返すと

「そう!そうなんですよね!」と、えりさん得心の表情。

⑨銃の出処は
奥崎が使った銃は?原一男監督が渡したという噂が実しやかに
語られている。特に下北沢で。

→(監督、苦笑しながら)自分は渡していない。
あれは改造拳銃で、彼の支持者が手配した。



⑩彼の小指が無いのは?ヤクザと揉めて詰めたとか?
→戦時中、南方で。
あちらの部族の矢が当たって切断された。

最初の殺人事件は彼の店舗が借地で、その更新に応じない相手
不動産業者と「話し合い」に向かった際のトラブルから。

獄中で彼は何かを悟り、独房で戦争の責任に関して考えた。
「皆が死んでいった中、生き残った罪悪感」もあると思われる。

⑪彼の奥さんは奥崎全肯定だったのか?
→まさに全肯定。全てを信じていた。

⑫「田中角栄をころす」横断幕の意味は?
→単に当時TVでロッキード事件を取り上げていたから。
彼は常にTVを点けており、ワイドショーなどで取り上げられた
対象に怒りを募らせた。その程度の理由。

(この作品中の大きなテーマ)戦争中の犯罪についても彼は
知らなかった。
自分が「こういった事がある」と教えたとの事。

・・・拳銃わたすよりタチ悪いじゃん!!!!!

(続く)

「ゆきゆきて、神軍 / 公開30年記念上映」に行く(2)

2017年08月15日 | サブカル
まずは映画本編の上映。

やっぱり強烈。
常軌を逸した行動力で元上官たちを突き止め、
追い詰める奥崎謙三。



暴力も辞さぬその姿勢はメチャクチャに映る。
そもそもがアナ-キスト。
年始行事で天皇にパチンコ玉を放ち、皇室ポルノを
デパート屋上から巻いた前科持ち。

それ以前に不動産業者を殺害している。
よって警察など恐れもしない。
警察の警備課長の方が「おお、奥崎さん」などと
迎え入れる。

ただし、弱者には優しい。
太平洋戦争で家族を亡くした方々への深い同情は
改めて見て驚いたほどだ。

※息子の墓に線香を立て、涙を流しながら「岸壁の母」を
 歌う老婆。そこに優しく寄り添う奥崎謙三の姿。
 
 まさか「ゆきゆきて、神軍」を観て泣く事になるとは
 思わなかったよ…



カメラに映された奥崎の行動は明らかにエスカレート。
ドキュメンタリーの形式からさえ逸脱していく・・・。

南洋の部隊内での飢餓、人肉食というショッキングな
事実が明かされる。
当時の部隊の上官に責任を取らせようとした奥崎は・・・

「ドキューン」(銃声)



乱れ打たれる太鼓の音。
エンディングをダイナミックに演出する。
何度見ても強烈だ。

暗転後、UPLINKの女性スタッフさんが現れた。
この時点で22時を過ぎている。

これからトークが始まるが終電は各自確認し、途中退席は
後方出口からどうぞ・・・との事。

説明が終わり、トークの主役が呼び込まれる。

監督の原一男氏、そしてゲストの渡辺えりさん登場だ。
(続く)

「ゆきゆきて、神軍 / 公開30年記念上映」に行く(1)

2017年08月15日 | サブカル
『ゆきゆきて、神軍』公開30年記念上映が渋谷UPLINKで
行なわれると知って居ても立ってもいられなくなって。

特にゲストを招いてトークショーありなんて聞くと益々
見に行きたくなり…。



連日、原一男監督が登場されるなんて発表された日にゃ
「どっかの日で必ず行く!」と握り拳を作ったワケです。

結局、私の都合で言えば行けるのは8月15日(火)。
20:25~22:27で「予告なし」「上映後トークショー」の回。



登壇者は、渡辺えりさん(劇作・演出・俳優)!
そして原一男監督!

前売りでチケットをGETし、渋谷に馳せ参じたのです。
※結局毎回うりきれだったそうな…



あいにく当日は雨模様。
おしゃれなアップリンクに到着したが、気後れする事はない。

そもそも数日前に「ソ満国境」を見に来たし、「ゆきゆきて」
だって強烈だからな。
※スイマセン、画像は主にその時に撮ったモノです…



~なんて言ってたら、随分と人が並んでいる。
やはり人気だ。今回は1階のシアターで上映されるんだな。
順次お客は席に進んでいる。

さて、その「ゆきゆきて、神軍」。
どんな映画かというと、「1987年公開の日本映画」で、奥崎謙三
という強烈な人物を描いたドキュメンタリーである。



日本国内外で多くの賞を受賞し、あのマイケル・ムーアにも影響
与えたという作品である。
企画は今村昌平、疾走プロの原一男監督。

キャッチコピーは「知らぬ存ぜぬは許しません」。



粗筋は、以下の通り。

元軍人の奥崎謙三は、第二次世界大戦中に自らが所属した第36連隊
残留隊で、隊長による部下射殺事件があったことを知る。
殺害された兵士2名の親族とともに、真相を追い求める奥崎だったが
元隊員たちは容易に口を割らない。各人の言い分も微妙に異なる。
時に暴力を振るいながら証言を引き出し、ある元上官の姿が浮かんだ。
そして、ただの処刑とは異なる南方戦線での壮絶な惨劇があった事も
判明するのだ。
奥崎は元上官宅を改造拳銃持参にて訪れる…。

当初、上映は8月12日(土)~8月18日(金)の期間限定だったが、全回
ソールドアウトという人気で、上映延長も発表された。

(続く)

山中慎介はルイス・ネリにTKO負けで王座陥落

2017年08月15日 | ボクシング
8月15日 島津アリーナ京都
【WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦】

ルイス・ネリ(メキシコ)4回2分29秒TKO 山中慎介

世界王座連続防衛「13」の日本記録タイが掛かった試合だったが、
ルイス・ネリの連打に敗れ去った。



正直、予想外の結果。
何があるか分からないのがボクシングとはいえ、序盤は堂々と右
リードで挑戦者を押さえた王者が、ああいう結果で敗れるとは…。

結果論だが強打の挑戦者ネリに自信満々で圧力を掛けた初回の王者。
試合前の予想と異なり、あまり足を使わずドッシリとした姿勢で右
リードを突いた事が裏目に回った気もする。

初回後半に早くも連打で仕掛ける姿勢を見せたネリ。
私の予想より落ち着いていた。(苦笑)

王者の右フックをカウンターされて天井を向いたネリだったが、
効いた素振りなし。

このタフさも挑戦者の武器だった。
山中も「神の左」がヒットするシーンもあったが、グニャリと身体に
吸収する感じで衝撃を緩和するネリ。

たまに連打されてバタつく王者だが、ジャブはコンスタントに伸ばし
ポイントは際どい線にあると思われた。

これまでの試合でも相手に打たれてバタついたようなシーンの直後に
「神の左」を炸裂させてダウンを奪ってきた男だ、まだまだ大丈夫。
そんな印象で私は見ていた。

そして「さぁ、4R終了時の公式採点はどうか?」と思った4R半ばで
挑戦者の連打が始まった。

ここまでの展開、「強いパンチで迎え撃つか」「はっきり足を使うか」
微妙な対応だった王者。

連打が飛んできても受けに回ってネリを勢い付かせた印象あり。

挑戦者の強い連打に巻き込まれるように足をバタつかせ、遂にモロに
食らい大きく身体を傾けた山中。

サードロープに腰を落とすような形で応戦するも見栄えは悪い。
挑戦者優位の打撃戦のなか、レフェリーが唐突に間に入った。

コーナーからタオルが投げられたのだ!
王者も観客も呆然とするなか、試合は終わった。

大和トレーナーが山中を抱きかかえる。
少し早いタオル投入の気もしたが、選手の事を一番知ってるトレーナー
判断だからなぁ…。

試合前の予想では、長谷川穂積氏が「フック系を連打してくる相手は
必ずしも(山中は)得意ではない」と指摘していたし、それが当たった
事になるのか。

長谷川氏も予想が当たるのは本意じゃなかっただろうが…。