谷口ジロー先生の原画展が、恵比寿の日仏会館ギャラリーにて
開催中。明日が最終日というので見てきた。
今年2月11日、69歳で死去された時には「『坊っちゃん』の時代」
「犬を飼う」「孤独のグルメ」が代表作・・・と言われた谷口
ジローさん。
フランスでの評価も、2000年代から「古き良き日本の日常」を描く
作品の翻訳版刊行で高まり、伊仏を中心に数々の美術系の賞を得た。
※もちろん現代をテーマとした作品の評価も高く、芸術家のような
扱いを受けている。
ルイ・ヴィトンが作成する「トラベルブック」ヴェネツィア版も
手がけており、それだけでも欧州人気が計り知れるというものだ。
※「安藤忠雄展」でも思ったが、ヴィトンとか芸術に貢献するから
エライよねぇ…。
「日本よりフランスの方が有名」と言われるほど現地人気は高く、
それが今回「日仏会館ギャラリー」での無料展覧会開催に至った
理由だろう。
そういう事なので、規模や作品年代へは余り期待していなかった
のだが、いざ入場すると予想以上の作品数に驚いた。
※贈られた花も「小学館国際事業センター」など、一般の編集部
からの物ではありません。
中はフラッシュ禁止の撮影OK。接写している人もいる。
私は大喜びでスマホを取り出した。
鑑賞&撮影開始だ。
展示原画を順路通りに見ていくと…。
これが、初期から飾ってあってビックリ!
「欧州で評価され始めた中期から」かと思ったらとんでもなかった!
私に最初に衝撃与えた「青の戦士」が、その原画が展示されている!
※狩撫麻礼原作のボクシング劇画。
1980年連載開始だったんだな…。
レオベルト・ゲランと屋外競技場で戦う礼桂(レゲ)の
姿が、そこにあるのだ!
手貼りの写植が生原稿感を増している・・・。
展示レイアウトもさすがというか、ファンが谷口ジロー
って凄い絵師が現れた衝撃を受けた時期から作品順路が
始まっているのだ。
「Live!オデッセイ」や「ナックルウォーズ」こそ無かった
けれど、やはりハードボイルドが一番しっくり来る。
絵にも主張があるねぇ…。
荒さと緻密さが同居している。
そしてホワイトによる修正が少ない・・・。
「餓狼伝」でも、効果に使ってあるくらい。
トーンの削りも細かいなぁ。
カラー原稿も圧巻。
登山漫画も、山を描くタッチ、そして塗りの繊細さ・・・。
SFものでメビウスの影響が顕著に。
「このひとは何でも描けるのか!」と驚いたもんです。
森の表現なんか凄い。これまたホワイト修正に逃げて
ないもんなぁ・・・。
その後、ショウケース入りの最初期作。
ベタの明暗、そして師匠の石川球太さん譲りの動物画。
本名・谷口治郎の名義で描いた(原作あり)学習漫画、
「シートン動物記」の存在感が凄い。
もちろん最初期の実験精神あふれる作品も興味深かった。
劇画調からアメコミの影響も感じられる作風も・・・。
ベタで押さえる効果もアメコミ調・・・。
レスト部にあるモニターでは、仏伊の紹紹介プログラムが
流れている。インタビューに答える谷口先生。
「故郷である鳥取の自然、街並み、人の優しさ…」
「今が繋がる。昔を描いてもノスタルジーではない」
「鳥取を描くなら大火があった事は避けられなかった」
ともコメントされている。
日本語はフランス語字幕付き、他は何もなし。
それでも谷口作品を熱く語る仏語からは、彼らが如何に
谷口ジロー作品に敬意を払っているのかが良く分かる。
それが本当に嬉しい。
再び壁に展示してある「原画」鑑賞に戻る。
「孤独のグルメ」はアクが取れ、あっさりした絵。
※私はギラギラした谷口絵が好きだったから、すこし
寂しかったなぁ。
90年代以降は洗練され、もう荒い筆致は出来ないかと
思っていた。
「歩くひと」ではペンタッチの強弱も無くなり、ベタで
影を押さえる技法さえ使わなくなられた。
でも、結局は使い分けてらしたんだな。
荒い筆タッチは健在で、描こうとすれば普通に出来たのだ。
物販コーナーもあり。イラスト集や最新刊も並べてあった。
私はポストカードを購入。
バラでも買えるが、五枚で600円セットをチョイスした。
個人的にはハードボイルドな絵が1番しっくりするねぇ。
でも可愛い女の子を描くために、美少女漫画のキャラを
模写してた・・・なんて凄い話ある人だもんな。
常に進化を目指していらしたんだよね。
最後には病を得てからの作品が並んでいた。
簡素化されたタッチは、最小限の線画で表現できるまで
達観した顕れなのか・・・?
最初期から絶筆作まで、圧巻の筆致が目前で鑑賞できる、
ファン必見の原画展。
最終日には間に合います。
谷口ジロー・ファンの方は是非どうぞ!
「描くひと 谷口ジローの世界」
期間2017年12月9日(土)~12月22日(金)
時間火~金 12:00~19:00
土・日 11:00~18:00
月曜:休み
料金:入場無料。
開催中。明日が最終日というので見てきた。
今年2月11日、69歳で死去された時には「『坊っちゃん』の時代」
「犬を飼う」「孤独のグルメ」が代表作・・・と言われた谷口
ジローさん。
フランスでの評価も、2000年代から「古き良き日本の日常」を描く
作品の翻訳版刊行で高まり、伊仏を中心に数々の美術系の賞を得た。
※もちろん現代をテーマとした作品の評価も高く、芸術家のような
扱いを受けている。
ルイ・ヴィトンが作成する「トラベルブック」ヴェネツィア版も
手がけており、それだけでも欧州人気が計り知れるというものだ。
※「安藤忠雄展」でも思ったが、ヴィトンとか芸術に貢献するから
エライよねぇ…。
「日本よりフランスの方が有名」と言われるほど現地人気は高く、
それが今回「日仏会館ギャラリー」での無料展覧会開催に至った
理由だろう。
そういう事なので、規模や作品年代へは余り期待していなかった
のだが、いざ入場すると予想以上の作品数に驚いた。
※贈られた花も「小学館国際事業センター」など、一般の編集部
からの物ではありません。
中はフラッシュ禁止の撮影OK。接写している人もいる。
私は大喜びでスマホを取り出した。
鑑賞&撮影開始だ。
展示原画を順路通りに見ていくと…。
これが、初期から飾ってあってビックリ!
「欧州で評価され始めた中期から」かと思ったらとんでもなかった!
私に最初に衝撃与えた「青の戦士」が、その原画が展示されている!
※狩撫麻礼原作のボクシング劇画。
1980年連載開始だったんだな…。
レオベルト・ゲランと屋外競技場で戦う礼桂(レゲ)の
姿が、そこにあるのだ!
手貼りの写植が生原稿感を増している・・・。
展示レイアウトもさすがというか、ファンが谷口ジロー
って凄い絵師が現れた衝撃を受けた時期から作品順路が
始まっているのだ。
「Live!オデッセイ」や「ナックルウォーズ」こそ無かった
けれど、やはりハードボイルドが一番しっくり来る。
絵にも主張があるねぇ…。
荒さと緻密さが同居している。
そしてホワイトによる修正が少ない・・・。
「餓狼伝」でも、効果に使ってあるくらい。
トーンの削りも細かいなぁ。
カラー原稿も圧巻。
登山漫画も、山を描くタッチ、そして塗りの繊細さ・・・。
SFものでメビウスの影響が顕著に。
「このひとは何でも描けるのか!」と驚いたもんです。
森の表現なんか凄い。これまたホワイト修正に逃げて
ないもんなぁ・・・。
その後、ショウケース入りの最初期作。
ベタの明暗、そして師匠の石川球太さん譲りの動物画。
本名・谷口治郎の名義で描いた(原作あり)学習漫画、
「シートン動物記」の存在感が凄い。
もちろん最初期の実験精神あふれる作品も興味深かった。
劇画調からアメコミの影響も感じられる作風も・・・。
ベタで押さえる効果もアメコミ調・・・。
レスト部にあるモニターでは、仏伊の紹紹介プログラムが
流れている。インタビューに答える谷口先生。
「故郷である鳥取の自然、街並み、人の優しさ…」
「今が繋がる。昔を描いてもノスタルジーではない」
「鳥取を描くなら大火があった事は避けられなかった」
ともコメントされている。
日本語はフランス語字幕付き、他は何もなし。
それでも谷口作品を熱く語る仏語からは、彼らが如何に
谷口ジロー作品に敬意を払っているのかが良く分かる。
それが本当に嬉しい。
再び壁に展示してある「原画」鑑賞に戻る。
「孤独のグルメ」はアクが取れ、あっさりした絵。
※私はギラギラした谷口絵が好きだったから、すこし
寂しかったなぁ。
90年代以降は洗練され、もう荒い筆致は出来ないかと
思っていた。
「歩くひと」ではペンタッチの強弱も無くなり、ベタで
影を押さえる技法さえ使わなくなられた。
でも、結局は使い分けてらしたんだな。
荒い筆タッチは健在で、描こうとすれば普通に出来たのだ。
物販コーナーもあり。イラスト集や最新刊も並べてあった。
私はポストカードを購入。
バラでも買えるが、五枚で600円セットをチョイスした。
個人的にはハードボイルドな絵が1番しっくりするねぇ。
でも可愛い女の子を描くために、美少女漫画のキャラを
模写してた・・・なんて凄い話ある人だもんな。
常に進化を目指していらしたんだよね。
最後には病を得てからの作品が並んでいた。
簡素化されたタッチは、最小限の線画で表現できるまで
達観した顕れなのか・・・?
最初期から絶筆作まで、圧巻の筆致が目前で鑑賞できる、
ファン必見の原画展。
最終日には間に合います。
谷口ジロー・ファンの方は是非どうぞ!
「描くひと 谷口ジローの世界」
期間2017年12月9日(土)~12月22日(金)
時間火~金 12:00~19:00
土・日 11:00~18:00
月曜:休み
料金:入場無料。