コニカの歩み・1990年代に発売された機種一覧
1990年に発売されたビッグミニ(BM-201)は、ポケットに入るコンパクトサイズでなおかつ性能がよいということで、かなり多く売れた。アラーキーもスナップ撮影で使うなど、プロも使うコンパクトとなっていた。一方こちらは、2倍ズームレンズ搭載のビッグ・ミニ。同じビッグミニシリーズだったが、形や性能は異なる。
1993年2月、いわゆる卒業旅行というやつで、私は友人と初めてヨーロッパへ行くことにした。ただ、卒業旅行とは言っても貧乏旅行に近いので、宿はユースホステルや安ホテル。荷物を最小限にしての旅行だった。建築や都市、街並みを中心にして見に行くわけだから、写真は当然撮りたいのだが、当時は一眼レフカメラを持って行くのがためらわれた。今なら当然のように一眼デジカメを持って行っちゃうだろうけど。
そんなわけで、ちょこちょこ簡単に撮れるカメラが欲しいなぁということになり、ビッグミニにたどり着いた。単焦点のビッグミニも捨てがたかったが、旅行先ではやっぱりズームが欲しくなっちゃうだろうなぁという気持ちもあって、結局ズームもできるタイプを購入。プロならそのへんを割り切ってしまうのかもしれないけれど、普通のアマチュア君には、あれもこれもという庶民的な欲をけっ飛ばすことができない。先輩は単焦点のビッグミニを買った方が良かったんじゃないかと言っていたが、ズームできればなぁという思いをするくらいなら、ポケットサイズは多少犠牲になっても仕方ないと思った次第。
それほど高いカメラではなかったが、何しろカメラを買うのは初めて。今まで使っていたのは全て父親のお下がりだったので、あるものを使うだけだったが、自分で買うとなると、どんなものが欲しいのか、いくらまでだったら許容できるのか、いろいろ悩むわけで・・・。
同時期にPENTAXにはESPIOというコンパクトシリーズがあった。父から貰った一眼レフがPENTAXだったこともあって、PENTAXには親近感があったため、一時はビッグミニではなく、ESPIOにしようかとも思っていた。ズームの性能や軽さなどではESPIOの方が良いように思われたのだが、新宿のヨドバシカメラで店員さんに聞いてみたら、ビッグミニの方が使い勝手が良いとはっきり言われてちょっと驚いた記憶がある。店員さんに言われてその時初めて知ったのが、ファインダーの性能がかなり違うことだった。ビッグミニズームのファインダーは実像式で、若干の視差はあるものの、ほぼファインダーで見える範囲が写る範囲であるのに対して、ESPIOのファインダーには白い枠(ブライトフレーム)が見えていて、その枠の中が写る範囲になっているのだった。このブライトフレームは写る範囲とのズレが実像式より大きく、撮影に際しても細かくはフレーミングできない。またファインダーを覗いたとき、対象がかなり歪んで見えるのも難点だった。お店の人はビッグミニの方が少し高いけれど真面目な設計をしていると教えてくれた。そのへんが決め手になってビッグミニを買ったのだった。
3週間のヨーロッパ滞在中に17本のフィルムを使い、約500枚の写真を撮った。日本に帰ってからも、旅行などでは気軽にこのカメラを持ち歩き、その後も2,000枚近くをこのカメラで撮っている。最近はデジカメを使うことがほとんどなので出番がなくなってしまったが、電池を交換すれば今でも使うことができるはずだ。
前面にスカイライトフィルターが最初から付いているらしく、空が異様に青く写ることがあるのと、夕暮れなどに建物がかなり青く写るあたりはちょっと気になるところだった。一眼レフカメラのようには素直な色にならないことが多く、朝夕の撮影にはあまり向かない。だがお天気の日中の写真はまずまず。コンパクトでも結構きれいに撮れるなぁと思うことが多かった。マニュアルのカメラで苦心して露出などを決めるより、何も考えないでシャッターボタンを押すだけで、それなりの写真が撮れるのは魅力だ。海外の人混みで、ちゃちゃっとスナップを撮るにはもってこいである。