高輪で階段三昧・おまけ。前回のちょっと南側、港区との区界近くの階段。
所在地:品川区北品川6-4と5の間
住所は品川区内だが、高輪南部の階段巡りでついでに行っておきたい場所。老朽化した木造住宅(どうやら無人)わきの路地を入っていくとめざす階段はある。通る人は少ない。足下がかなり悪くて崩れてしまいそうだから。
階段下の木造住宅には蔦が絡まって、玄関脇にも雑草が生い茂りほとんど幽霊屋敷状態。かなり廃墟感が漂う。毎回、訪れる度に、建物も階段も無くなってしまっているのではないかと心配なのだが、不思議に変化がなく、かれこれ十年以上が経つ。草木は伸び、建物は朽ちてきたが、階段は残り続けている。
石段は老朽化して崩れかけている。上りはまだなんとかなるのだが、下るのはかなり危険だ。上から見ると足を滑らせて下まで落ちてしまいそうな気がする。
しかしこんな草ボウボウの石段が都心にあること自体がかなりの驚きだ。近くにはソニーの研究所やオフィスがあり、ネクタイ姿のサラリーマンが行き交う。そのすぐ裏手にほったらかしになった道がある。ピカピカの都心と、そのイメージからかけ離れたまるで山奥の村のような場所が、奇妙に同居しているのが、今の東京の面白さ、不思議さなのかもしれない。
石段を上りきって振り向くと遠方に緑に覆われた島津山の丘が見える。木立の中には、J.コンドル設計の清泉女子大学本館の姿も垣間見える。意外な眺望の良さに改めて感心しつつ高輪の台地上に至る。
ところで、住宅地図を見ると階段の南側はどうもお屋敷のようで、ほとんど未利用の斜面樹林が広がる。台地上の日当たりの良い西南端への立地は、昔の邸宅の典型的な立地スタイルでもあり、その形式を今に残しているのは実は貴重なことかもしれない。
Photo 2006.03.10
#階段・坂 品川区 #路地