フランス西海岸、サン・マロ湾上に浮かぶ
周囲約900mの花崗岩の小島にそびえ建つ大修道院。
708年、司教オベールの夢に大天使ミカエルのお告げで、
当時陸続きであった岩山にお告げに従い礼拝堂を建てると
一夜にして岩山は海に沈み孤島になったとか。
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以来、島は聖地となり、巡礼者が訪れるようになりました。
966年にはノルマンディー公リシャール1世が
ベネディクト会の修道院を島に建て、
これが増改築を重ねて13世紀にはほぼ現在のような形に。
島の周辺は潮の干満の差が激しく、
干潮時には対岸と陸続きになりますが、
満潮時には海水に覆われ、島は海中に孤立します。
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1877年に堤防道路が築かれると潮流が変化し、
100年の間に2mもの砂が堆積してしまい、
急速な陸地化が島の周囲で進行して、
海中に孤立する姿が見られることが少なくなりました。
かつての姿を取り戻すべく訪問後の2009年には、
この地続きの道路が取り壊され、
2014年に新たな橋が完成したのです。
(もう見ることができないので貴重な写真ともいえます)
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14世紀の百年戦争では城塞として使われ、
フランス革命後は監獄ともなりました。
堅牢な城壁が島を囲み、中世の面影が残り、
崇高で神聖な雰囲気が漂います。
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主要部はゴシック様式ですが、内部は様々な
中世の建築方式が混ざり合って構成されています。
カトリックの巡礼地のひとつであり「西洋の驚異」と称され、
1979年にはユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録、
1994年10月にはラムサール条約登録地となっています。
世界文化遺産 1979年登録
フランス
訪問日 2007.12.29