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'07/05/23の朝刊記事から
呼吸器外し医師書類送検 和歌山県警、起訴は求めず
和歌山県立医大病院紀北分院(同県かつらぎ町)で2006年2月、家族の希望を受けて、延命措置を中止するために女性患者=当時(88)=の人工呼吸器を外し、死亡させたとして、県警が殺人容疑で50代の男性医師を書類送検していたことが22日、分かった。
延命治療の中止が刑事事件となる例は少なく、今後は和歌山地検の判断が焦点となる。
県警は「悪質性は低い」として刑事処分を求めない意見書を付けており、家族の希望があったことや病状などを考慮し、起訴が見送られる公算が大きい。
調べや分院によると、医師は助教授だった06年2月27日、脳内出血で分院に運ばれた女性を緊急手術。
術後の経過が悪く脳死状態となり、家族から「関東地方の近親者が来るまで延命してほしい」と求められ、人工呼吸器を装着した。
翌28日、親族が到着し、家族は「かわいそうだから呼吸器を外してほしい」と依頼。
医師は一旦断ったが、懇願され個人の判断で受け入れ、脳死を調べる自発呼吸の有無を確認するためとして同日夜、呼吸器を外した。
5分経過後も自発呼吸は戻らず、看護師が合図したが、医師は再装着しなかった。
女性は呼吸器を外してから約30分後に死亡した。
医師は3月2日に分院長に報告。
分院は調査員会を設置して経緯を調べ、同月28日、県警妙寺署に届け出た。
県警は医師から事情を聴き、診療記録を調べるなどし、今年1月9日に殺人容疑で書類送検した。
家族から被害届などは出ておらず、分院によると、家族は「医師には感謝している」と話しているという。
調査中に患者7人が死亡した富山県・射水市民病院の問題が発覚したため、捜査機関の判断を仰ごうと届け出を決めたという。