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'07/07/08の朝刊記事から
履歴送付100億円 原本照合1000億円!? 年金対策経費口つぐむ政府
社会保険庁の年金記録不備問題で新たな対応策を示した政府は、必要な費用の規模についてはこれまでほとんど明らかにしていない。
安倍晋三首相は、社保庁のリストラなどで通常経費を節減した中から対策に必要な費用を確保し、国民に新たな負担は求めないとする姿勢を強調する。
しかし、対応策には多くの人手に頼らざるを得ない作業もある。
経費が膨れれば何らかの財源措置が必要になる可能性もある。
政府が打ち出した対応策で最も支出が大きいとみられるのが、社会保険事務所や市町村が保管する原本記録と、受給者・加入者のオンライン記録との照合作業だ。
政府は①マイクロフィルムや紙の原本記録と、オンライン記録を人の目で確認する②原本記録をコンピューターに再入力し、オンライン記録とコンピューター上で照合する-などの手法を検討。
政府・与党の調整では、千億円程度の経費がかかるとの見方が浮上している。
ただ、「手法によって額は大きく変わる」(政府関係者)として、公式には示されていない。
すべての受給者・加入者計1億人まで対象を広げた加入履歴送付は、郵便料が大きなウエートを占めそうだ。
社保庁の担当者は「印刷経費を含め百億円程度はかかる」。
該当者不明の記録5千万件の照合調査は、プログラム開発に10億円程度かかるとみられていたが、随意契約での受注が見込まれるNTTデータが利益を乗せない実費で請け負う方針を表明。
ある程度は圧縮されそうだ。
安倍首相は年金記録問題の対応で新たに生じる費用について「社保庁やその後の組織で合理化、効率化などあらゆる手段を通じて捻出する」と強調、「国民の保険料負担に回さない」考えを示す。
これに対し野党は「対策を示しても見積もりを出さないのは問題」などと、政府の姿勢を批判している。