'07/10/01の朝刊記事から
ミャンマー銃撃死 カメラ返却されず
通信社社長が遺留品確認
ミャンマーで治安部隊の銃撃を受け、死亡した映像ジャーナリスト長井健司さん(50)が撮影していたビデオカメラが、警察側から返却されていないことが30日、分かった。
長井さんが契約していたニュースプロダクション「APF通信社」(東京)の山路徹社長が同日、現地で遺留品をチェックした後、同社に報告した。
警察当局が没収した可能性が高く、山路社長はカメラの返却を求めると共に、遺体の搬送準備を進める。
山路社長は「日本への搬送の見通しは立っていない」と同社に話しているという。
長井さんは銃撃され倒れた後も、ビデオカメラを握り締めていたことが、当時の映像などから分かっている。
山路社長は日本を出発する際、「ビデオの映像を確認したい」と話していたが、当局の没収についても懸念を示していた。
同社によると、山路社長は30日、在ミャンマー日本大使館内で、長井さんのホテルにあった荷物と、警察から返された荷物を点検。
その結果、長井さんが銃撃現場で使用していたソニー製のビデオカメラはなく、バッテリーだけが見つかった。
予備で持っていたキヤノン製のビデオカメラ1台はあり、中のテープには、テスト撮影とみられるホテル内の映像が30秒から1分程度写っていた。
このほか、長井さんのパスポートや携帯電話、メモ帳と未収録テープなども見つかった。
また、山路社長は野川保晶駐ミャンマー大使と面談。
同大使は「これまでミャンマーに対する日本の関心は日本国内では低かったかもしれない。今回の悲しいつらい事件により、長井さんが身をもって知らせてくれた」などと話したという。
山路社長は1日、外務省の藪中三十二外務審議官と面談する予定。
また、事件現場での献花も希望している。