'08/10/13の朝刊記事から
北朝鮮テロ指定解除
日本政府「蚊帳の外」
拉致再調査 働きかけ強化
米政府が北朝鮮へのテロ支援国家指定を解除し、日本政府は日朝関係打開に向けた有力なテコを失う
政府は今後、独自の経済制裁をカードに拉致問題解決に全力を挙げるが、麻生太郎政権の先行きが見通せない中、北朝鮮に足元を見られる可能性もあり、引き続き対応に苦慮しそうだ。
首相は12日、静岡県浜松市内で記者団に、指定解除について「(核問題が)動かない状況のままより、きちんとやった方がいい」と理解を示した。
拉致問題が置き去りになるとの懸念に対しては「六カ国協議の中で十分に拉致の話もできる。テコを失うことはない」と強調した。
ただ、米国頼みの対北朝鮮外交を続けてきた日本が「蚊帳の外」に置かれた感は否めない。
規定解除については日本政府にも既定路線との認識があったが、中曽根弘文外相は10日夜、ライス米国務長官からの電話に「まだ確認する点がある」と慎重な対応を求めており、この時点での解除を想定していなかった。
ブッシュ米大統領が、拉致被害者家族への「深い同情」とともに首相に電話で指定解除を伝えたのは、発表の直前だった。
河村建夫官房長官は12日、「拉致問題の対応は一歩も後退しない」と、今後も日朝間で合意した拉致被害者の再調査開始を迫る考えを強調した。