‘07/02/18の朝刊記事から
イラク掃討作戦 “空振り”懸念の声も
民兵幹部 既に逃亡か
【カイロ17日共同】米、イラク両政府の大々的な号令で始まった首都バグダッドでの掃討作戦。
イスラム教スンニ派武装勢力やシーア派民兵組織の激しい抵抗はなく、マリキ首相は「輝かしい成功」との治安改善を誇示した。
だが、民兵組織幹部は既にバグダッドを離れたと言われており、早くも作戦の“空振り”を懸念する声が出ている。
「昨日はほとんど事件がなかったが、今日は変わるかもしれない」。
ロイター通信によると、駐留米軍報道官は16日、民兵組織や武装勢力との衝突がほとんどないことを認めた上で「成否については話すにはまだ早すぎる」とくぎを刺した。
報道官によると、米・イラク合同部隊が展開しているのは、シーア派民兵が多く活動していた北部カドミヤ地区や、スンニ派武装勢力が拠点を置く北部アダミヤ地区、テロが頻発していた中心部カラダ地区など。
14日朝には集中的な作戦を始めたはずだが、目立った成果は聞こえてこない。
AP通信によると、イラク軍報道官は16日、バグダッドで見つかった遺体数が激減したと強調。
だが、それは民兵や武装勢力が身を潜めているためとの見方が根強い。
民兵組織マハディ軍を率いるサドル師は同軍幹部に主国を指示、自身もイランに滞在しているとされる。
同師派は出国を否定するが、フランス公共ラジオによると、サドル師は16日の金曜礼拝にも姿を現さなかった。
シンクタンク「国際危機グループ」のヒルターマン氏は欧州メディアに「真の問題は米国が勝利宣言して撤退を始めたときに現れる」と指摘、米軍撤退後に民兵や武装勢力が再び活動を活発化させると警鐘を鳴らした。