’08/05/20の朝刊記事から
国連人権理事会 アイヌ民族との対話勧告
政府に要求 先住民族認知で
日本政府が国連人権理事会による人権状況の審査で、「先住民族の権利に関する国連宣言」の国内適用に向けて、アイヌ民族と対話するよう勧告されたことが、19日明らかになった。
政府は国連宣言に定義がないことを理由に、「アイヌ民族が宣言にいう先住民族かどうか結論を下せる状況にない」(福田康夫首相)との見解をとっており、この勧告への対応が注目される。
審査は、4月から新たに始まった「普遍的定期審査」と呼ばれる制度。
日本は今月9日、スイス・ジュネーブで開かれた第2回作業部会で対象になった。
同部会にスタッフを派遣している国際人権NGO(非政府組織)「反差別国際運動」(東京)によると、アイヌ民族との対話を求めたのは中米グアテマラ。
道ウタリ協会が道知事、道議会とともに、政府に対し、審議機関の設置を要求していることを受けたものとみられる。
北アフリカのアルジェリアも「アイヌ民族の土地に対する権利など諸権利をあらためて吟味し、国連宣言の内容と一致させること」を求めた。
これらの内容は14日、在日韓国・朝鮮人、外国人、女性などに関する勧告と合わせ、審査報告書として作業部会で採択された。
外務省によると、政府は6月2日から始まる次回の人権理事会で、勧告を受け入れるかどう表明する。
政府は憲法との整合性などからアイヌ民族を「先住民族」と認めておらず、先住民族の権利を網羅した国連宣言そのものの国内実施も、考慮しない姿勢をとっている。
同ウタリ協会の加藤忠理事長は「超党派の国会議員連盟が『先住民族の認知』をうたう国会決議をめざしているなか、人権理事会の勧告は大変心強い。政府は勧告を誠実に受け止めてほしい」と話している。
【先住】①先代の住持 ②前に住んでいたこと。広辞苑第1版 昭和35/05/25発行
【先住】①先に住んでいること。「ー民族」②寺の、先代の住職。 集英社国語辞典第1版 1993/02/25発行
【先住】①そこに以前から住んでいること。②〔その寺の〕前の住持。
【ー民】新たに移住してきた民族などよりも以前から、その土地に住んでいた民族。先住民族。→原住民 新明解国語辞典第7版 '12/01/10発行
【原住民】征服者や移住民が来る前から、その土地に住み独自の文化を持っていた民族。後、多くは片隅に追いやられ、差別に喘(アエ)ぐ。→先住民 新明解国語辞典第7版 '12/01/10発行