「安全の目安は累積で100ミリシーベルト」
とサブタイトルがついた文章が、某新聞社が発行する小冊子に載っていた。サブタイトルの内容は正しいようだ。
しかし、奇妙な文章なのである。
抜粋すると、
実は宇宙からも、大地からも、通常の食べ物からも放射線が出ています。地球に生きているだけで自然の放射線を浴びてしまうのです。その自然放射線量は世界平均で年間約2.4ミリシーベルトです。
大半の専門家は「被爆量が100ミリシーベルト以下なら、健康への影響はない」と言っています。
一方、放射線はがんを起こす作用を持っています。これも「100ミリシーベルト以下ならまず大丈夫」と言われています。
覚えておく目安は「これまで浴びた量が累積で100ミリシーベルト以下かどうか」です。
聞くところによると、福島県では某大学の教授が「人間は1年間に100ミリシーベルト浴びても問題ない。安心してください」と福島県民に説いて回っているとか。
これはまっかな嘘。なぜならば一般人の年間許容限度が法律で1ミリシーベルトと決められ、放射線従事者でも年間限度20ミリシーベルトと決められているからだ。
さて、上記の文章は、何気なく読むと、同様のことを書いているように読める。が、よく読むと違うのである。「1年で」とは全く書いてなく「累積で」としつこく書いてあるのだ。
しかも自然放射線量のことまで書いてある。2.4ミリシーベルトを41年半くらい浴びると100ミリシーベルトになる。つまり、みんな危ない。確かにがんで死ぬ人は一向に減らないし・・・。
という訳で、この文章の意図は一体何なのだろうか。
マスコミの記者は、真実を伝えられるとは限らない。様々な圧力がかかって、歪曲されたりボツになったりは当たり前だと聞く。その中をすり抜けるために、このような回りくどい手法を使って、せめてもの真実を伝えようとしてくれた・・・のではないかと勝手に思うことにした。
この文章の最後の方に、
人の体には放射線の害を修復する力があります。
とも書いてある。いわゆる自然治癒力とか自己治癒力、免疫力の類だ。この治癒能力を高めるために音楽は有効な手段、我々音楽家が役に立つのは、この場面において、なのだということを自覚したい。