井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

BPO聞録(3)

2014-07-16 23:20:56 | オーケストラ

・飛び出し

BPOに入れた日本人は現在までに5人。敬称略でツチヤ、ヤスナガ、マチダ、シミズ、カシモト。

内二人がコンマス、一人がヴィオラ首席だから、皆さん相当優秀な方々と言って良いだろう。

そのマチダさんが入団直後にツチヤさんから言われたこと。

「日本のオーケストラは、飛び出してはいけない、飛び出さないように弾けと言われているだろう? でもここは違うんだ。飛び出しても、とても良い音だったら拍手がくるんだ。」

実際、飛び出して弾いてしまったら、隣の人が拍手してくれた、とマチダさんは言った。

それで、我が学生時代を思い出した。

以前にも書いた「管弦楽基礎奏法研究」という授業で、それこそ確信を持って、しかし間違ったタイミングで飛び出した学生がいた。

そこで故田中千香士先生曰く「間違わないようにコソコソやって、結局音を出さないようなヤツより、今みたいなのが俺は好きだな。」

そんなことを言われた我々は、それからガンガン飛び出すように・・・はならなかった。

なっていたら、今頃ベルリン・フィルと肩を並べられたのに、惜しいことをしたものだ。







BPO聞録(2)

2014-07-10 22:37:02 | オーケストラ

・リハーサル

定期公演はリハーサル5回で本番3回と表現していた。

1回のリハが3時間弱で、これを一日2回やる。本番の日にも1回やる。これが日本で言うところの「ゲネラルプローベ(通称ゲネプロ)」に相当する。

考え方がかなり違うのはここから。

説明のために小休憩を無視すると、BPOが1回目のリハーサルをするのが10時から13時、2回目は16時から19時。これは日本のN響や読響よりも長いことになる。

そして、間の13時から16時は別団体が使用するのだそうだ。BPOは荷物を置きっぱなしにはできないどころか、いわゆる「撤収」作業を毎日2回やらなければならない。

つまり13時の入れ替え時間にBPOのスタッフ、間の時間を使う団体のスタッフ、ホール付きのスタッフの三者が出てきて、急ぎ入れ替え作業をする。

16時になると、その逆をやる。

19時になると、また逆をやって、13時からリハーサルをした団体が20時から本番の公演をする。

フィルハーモニーザール(ホール)は、その昔「カラヤンのサーカス小屋」と呼ばれた。てっきりBPOの専有物かと思いきや、そうではなくベルリン市の所有物で、市民には公平に貸し出されなければならないとのこと。

だとしても、日本ならば10時から16時がBPO、16時から別団体で、そのまま本番とするだろうに・・・。

確かに3時間空くとリフレッシュできる。それが大事、ということなのだろう。しかし、そうすると日本のオーケストラのやり方は、彼らにしてみれば恐ろしく非効率、ということか?

とにかく日本では全く受け入れられそうもない考え方に、しばし唖然としてしまった。


BPO聞録(1)

2014-07-07 22:13:36 | オーケストラ

3年ぶりにベルリン・フィルのMさんに会って、なかなか伝わってこない話を聞くことができた。見た訳ではないので、見聞録ならぬ「聞録」

・自由席

弦楽器の場合、トップ以外の座席は決まっていない。演奏会毎、練習初日に早い者勝ちで座席が決まる。

人気のない指揮者の時と、現代曲の時は、皆さん後ろに座ろうとするそうで。そうか、BPOでも現代曲は敬遠されるんだ・・・。

・新入団員の試用期間

何と最長2年間。その間に「協調性」を見るという。技術面はオーディションでクリアしているからね。

・中国人、韓国人はいない

彼らは「協調性」で問題があるようだ。さすが「和を以て貴しとす」日本人!