中学生の時,よく歌わされるあの歌である。今でも合唱人は歌う。
これを我が大学の入学式で歌おうという運びになった。有名な割に知られていないのが,これのオリジナルは混声合唱とオーケストラのためのカンタータの第7楽章だということ。歌うだけだったら全国津々浦々で歌われているのだが,オリジナルのオケ伴で,となると,やはりまだ珍しい。
この手のものは大抵出版社がパート譜を管理しているものだが,この曲は何と作曲者自身の管理で,マイクロフィルムに収められているのを,注文に応じてプリントする,ということだった。(マイクロフィルム!いつまで使えるのか?明日は我が身かPDFファイル・・・)
で,そのスコアを大学が購入して,こちらでパート譜を作って演奏する,という段取りである。
作曲者,佐藤眞先生に電話をかけたら,いきなり本人が出られて,どぎまぎしてしまったが,初対面ではない。先生はもちろんお忘れになっているが,私の大学時代の「和声」の先生である。クラス授業のはずが,みんな全く関心が薄くて次々に欠席,1時間くらい私の個人レッスンの時間に変わっていた,という思い出がある。その時の内容は今でも鮮明に覚えているくらい,私にとっては有意義な時間だった。
そして昨日,そのオーケストラ・スコアが大学へ届いた。実に興味深いスコアである。何時間も眺めてしまった。
それで段々気になることが出てくるのである。当初から「土の歌」はショスタコの「森の歌」の焼き直しだとか何とか,毀誉褒貶の著しい曲であったが,それはさておいても,先生,これはないですよ,と言いたくなってくる。
最後に合唱が「たたえよー,ほめよー」と歌うところで静かに小太鼓のロールが入ってくる。
次の「たたえよー」でティンパニーのロールが入る。
「つちをー」でホルンのファンファーレ風フレーズ,
「母なる大地を」でシンバルとトランペット,
次の「あー」でサスペンディッド・シンバルのロール,
「たたえよ大地を」では上記全てのロールがなり,弦はトレモロ,木管はトリルが鳴り響く。
そして最後の「ああー」は2小節延ばしてフェルマータが付き,当初のルンガ(長く)が訂正されてルンギッシモ(超長く)と書いてある。
先生,合唱パートにも「ここで客席が全員総立ちで歌に参加する」と書いてはいかがでしょうか?
思い出すのは,同級生の語る「さとしん」先生の作曲のレッスン。「ここは何か,音を入れといたら?」とよく言われたそうである。挙げ句の果てが最後には合唱をかき消すオーケストラですか?
おっと先生に向かって,こんなことを申し上げてはバチが当たる。いや,名曲なればこそ,もっと良くあってほしいという気持ちの現れなのです・・・。何のかんの言いながら,演奏したいと思っているのですから。
スコアには「好演を期待します」とのメモが添えられていた。もちろんです,先生。がんばります!