井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

鉛筆ばんざーい

2018-05-04 12:25:00 | まち歩き
ある「鉛筆マニア」がテレビで紹介されていた。なんでも2000種類の鉛筆を試したという。
削りかすの匂いまで好きというのは、さすがにあっけにとられたが、「トンボ8900」をこよなく愛している様子を見て、私も手に入れたくなってきた。

トンボ鉛筆と言えばMONO、三菱鉛筆と言えばUNIで決まり、と思っていた私は、まだまだ世界を知らないようである。

鉛筆を多く揃えていそうな、大きめの文具店に行ってみた。

鉛筆は、楽譜を書くためにしか買ったことがないので、今まで全く気づかなかったのだが、昔に比べて何と鉛筆売り場が縮小されたことか!

硬度を6Bから9Hまで揃えているのは、三菱UNIしかなかった。もっと幅広い選択肢から鉛筆を選ぶつもりだった私には、いささかショックだった。

世の中ボールペン全盛なのである。これは、こんなにいらないというほど豊富なラインナップで、色も色鉛筆並みにある。
私も水性ボールペンは使うけれど、時々しか使わない。そうするとペンが風邪をひいてインクが出なくなったり、巻いてあるラバーがベトついたりと、なかなか使いにくいものに変身している。

そして、何より、油性ボールペンではきれいな字が書けない!
よって、私はボールペンは嫌いなのである!

それで、ここ10年、万年筆を使うようになったのだが(万年筆もかつての賑わいはなくて残念)、「そうだ、鉛筆もあるじゃないか」と喜び勇んで出かけたのだが…。

一つ目の店には、曲がった鉛筆が何本も置いてあった。
最初は、転がり防止で最近は鉛筆を曲げて作るのかと思ったが、どうもそうではなさそうだ。
長く売り場に置いてあるうちに、鉛筆の木の伸縮率の違いで、バイメタルよろしく反っていったのだろう。

鉛筆にも鮮度があるようだ。しかし、それほど売れないとは…。

二つ目の店では鉛筆売り場を探しだせなかった。
店員さんに尋ねて案内されたのは、何と画材コーナー。
鉛筆はもはや専門家か趣味のアイテムなのか…。

それでもかろうじてあったトンボ8900。何と、実に「普通の」鉛筆だった。しかも2Bはなかったので、BとHBを買って帰った。もちろん「反り」のないものを選んで。

そして使ってみてわかったのは、紙との相性だ。
今まで三菱ユニがオールマイティーだと思っていたのが、くつがえされた。
コピー用紙に書く感触はトンボ8900の方が良い。この少しジャリっとした感覚は極めて心地よい。
しかもHBでなければならない。Bではダメだった。

さらにこれを頻繁に削るとさらに良い。100円で売っている削り器が良い。あの鉛筆を回すタイプだ。削れる様子が見えるのが楽しい。

そして、このトンボ8900は字を書くのに良いのであって、楽譜はやはりユニの方が良い。

この楽しさはボールペンやシャープペンシルには無いぞ。
皆さんも是非お試しを。

上通アーケード

2017-12-31 18:22:53 | まち歩き
熊本で一番賑わっているのは下通(しもとおり)アーケード。それに比べて少し人通りの少ない上通(かみとおり)アーケード。

そこの中央部は板張りである。今のところ、日本で唯一の板張りで、これはなかなか歩きやすい。

ウッドデッキの材料としてよく使われるイペ材でペルーあたりの南米から輸入されたものだそうだ。
このイペ材、とても硬いそうで、この形に切り出すのも大変だったとか。

ほとんどの市民は、そんなこととはつゆ知らず歩いている。私も今日初めて知った。
昨年の地震にも立派に耐えている(はずだ)。
22世紀まで遺ってもらいたいものだ。


今年もご愛読いただいた皆様、どうもありがとうございました。
来年も皆様にとって良い年でありますように。

旧NHK熊本放送局

2017-12-30 19:56:00 | まち歩き
熊本市中心部の千葉城趾内に半世紀以上存在していたNHK熊本放送局が、2017年6月に移転した。

新しい放送局の建物は、現時点では面白くも何ともない。
一方、この旧放送局は、個人的な思い出もあり、取り壊される前に写真を撮っておこうと思った。(熊本逓信病院は、それをしないで後悔しているので。)

鉄塔の向こう側に見えるのが、再建中の熊本城天守閣である。

一般的には、毎日テレビを観る人でも放送局に行ったことがある人はごくごく少ないだろう。

しかし、アマチュアオーケストラに関わっていると、その練習場所として放送局を使うことが時々ある。
熊本放送局も、その昔、ジュニアオーケストラに所属していた時の練習場所だったので、毎週出入りしていた建物であった。

なので、思い出は尽きないが、それはともかく、今見ると1950~60年代の典型的な雰囲気を持っていることがわかる。

各階にベランダが付いている。これが、あの時代の一大特徴だと思う。今でも霞が関や日比谷の官庁に同様のデザインは見られるのではないだろうか。ベランダか「ひさし」が付いた建物。

この「ひさし」は、夏場の直射日光をさえぎってくれるので、特に九州あたりではとても具合が良かった。

この様式が、その後きれいさっぱりなくなった。
セキュリティ上の問題もあるかもしれないが、まずはそんなスペースがあるなら室内にした方が良いという考え方が主流になったからだろう。

多少遊びの空間があった方が、ゆとりを感じて良いと思うのだが。

ちなみにもう一つ、同市内の旧電報局ビル。電報局というものが存在したこと自体も時代を感じる。

奥の建物は、デザインを合わせて作ったものと思われる。

しかし、この二つを並べると「平凡」という言葉も頭に浮かぶ。

とは言え、どれもいずれ無くなる建物。私としては記録に残しておきたいものなのである。

魔王の宮殿

2014-12-28 23:42:24 | まち歩き

グリーグのペール・ギュント組曲の中の1曲に「山の魔王の宮殿」というのがあるのだが、それとは関係ない。

ヴァイオリン界のごく一部(cf. ビバ!おけいこヴァイオリン)に伝わる「魔王の宮殿」があったのだ。先日、ちょっと時間があったので、そこを30数年ぶりに訪ねることを思い立った。

わざわざ行かないと全く行く機会がない「成城学園」駅に向かった。

最近「副都心線」などという変な路線ができたお陰で、横浜からほとんどの場所に乗り換えなしで行けるようになった。その恩恵を受けていない訳ではないが、あまり受けていない感じがするのが小田急と京王。小田急も私にとっては、結局わざわざ乗らないと乗れない私鉄であった。

20数年ぶりに乗る小田急、最近はどこの私鉄も地下鉄になって、味気ないことおびただしい。そして、何と複々線になっていた! (そういえば、そんなニュースも聞いたような気がする)

 余談だが、私は鉄道建設のニュースを聞いても、それが実現するとはどうしても思わない思考回路になってしまっている。それは鉄ちゃんだった小学生の頃、全国を新幹線が走り回る計画とか、昭和60年には地下鉄はこうなるという計画が発表され、ワクワクしていたら、オイル・ショック! それ以降は絵に描いた餅状態。

地下鉄の方は15年遅れくらいで実現したけれど、新幹線なんてご承知の通り。1972年、田中角栄内閣時代の発表が本当ならば、1985年には北海道新幹線やリニア・モーターカーは実現していることになっている。

リニア・モーターカーはいつできるんでしたっけ。確か気の遠くなるような先の話だったよね。

それだけに、本当に工事をしてしまった小田急や東急には逆にかなりびっくりしてしまう。

成城学園駅も地下にもぐっていた。地上はショッピング・モールである。いやはや、もう全く昔とは別の街。東京はこれが当たり前、というのになかなかついていけない私であった。

さて、目指すは魔王の宮殿だ。

しかし、30年も経つと全く道を覚えていなかった。30分くらいウロウロしたのだが、わからなかった。既に取り壊されたかもしれない。

駅に近い場所にはいくつかコイン式の駐車場があった。土地の値段が高くて買い手がいないと駐車場。

昔はこんなことは無かった。俳優さんも多く住む、高級住宅街だった。(それは今でもそうだけど)

魔王の宮殿でレッスンが終わるとホッと一息、道すがらの喫茶店に入った。俳優の有島一郎の経営している店だった。夏だったので、アイス・コーヒーを頼んだ。コーヒーのグラスが斜めに立っている、独創的なグラスであった。

そして、そのとなりに透明な液体を入れた小さなグラスも供された。何だこれは?

しばらく眺めて考える。もしかして・・・うん、やっぱりそうだ・・・そうに違いない。

勇気を出してコーヒーに入れてみたら、コーヒーが甘くなったような気がした。

これをガム・シロップと呼ぶ、と知ったのは、さらに何年か経過して後のことだ。当時の田舎の高校生はみんな絶対「ガム・シロップ」なんて知らなかったはずだと断言したい。

喫茶店でまたもや緊張する街、それが私にとっての成城学園だった。


JR九州817系

2012-05-03 12:26:37 | まち歩き
JR九州の新型車両、817系に期せずして乗った。

写真で分かる通り、正面は、特に話題にするような趣ではない。

3扉車で「ロングシート(進行方向に対して直角に人が座ることになる横長の座席のこと)」風になっている。これが少々凝った作りで、正確には「ロング」ではなく、一人ひとりシートが別個になっている。と、ここまでは現在においてさほど珍しいことではない。

ここからである。

その「シート」に張ってある「クロス」が「海側/玉模様」「山側/縞模様」、そして10あるシートのうち4席には「ヘッドレスト」がついているのだ。車内が混んでいて写真が撮れなかったのが残念。

そして、シート、背もたれ、ヘッドレストは「木」でできていて、電車のシートというよりは「いす」に近い感じだ。この「いす」は九州新幹線「つばめ」のものと似ているから、恐らくスギ材なのだろう。

座席数は、扉間が10席、両端が4席で811系、813系と同じだ。811と813は「クロスシート(進行方向またはその正反対向きに座ることになる座席配置)」だったので、かなり立席スペースが増えた。窓も「はめごろし」でUVカットの大きなものが扉間に一つ配置されており、空間的な余裕をかなり感じることができる。

何ともぜいたくな作りで嬉しくなってしまった。