東京の人たちが、ゆっくり歩くようになったと思う。東京の人は誰もそう思っていないが。以前は、頻繁にぶつかるし、こちらもかなり早足で歩くことを心がけた時も度々あった記憶がある。私だけが言っていたのではない。福岡や長崎から東京へ出て行った友人は異口同音に言っていた。でも、今それをやると確実に人を追い抜いてしまう(ような気がする。なかなか東京に住む九州人に確認できないのだが。)
最初に気づいたのが暑い日だったので、「やっぱり暑いとそうそう速くは歩けない」だけだと思った。
しかし、冬になってもやはり人々はゆっくり歩いていた。で、気づいたのが「スイカSuica」。改札口にスイカが置いてあって、人々はスイカカードでそれを触るだけで改札を通り抜けていく。私のような「お上りさん」だけが自動券売機の前でもたついている。一昔前の券売機前の行列は全く姿を消しているのである。
このような次第で、人々は止まることなくプラットホームへゆったり?歩いていく。最近では私鉄も乗れるようになったようで、とにかくかなりの様変わり。
と、スイカのせいだと思っていたのだが、もう一つ考えられる原因があった。
「携帯電話」
4年前、久々に東京へ出て唖然としたのは、鉄道路線がすごく増えていたこと。だから電車の混み具合がかなり緩和されていた。同時に目的地へのルートが複数存在し、人々はそのルートと時刻を携帯電話で調べるようになっていた!こんなことは世界広しといえども、東京(大阪、名古屋も?)に限られる光景ではなかろうか?ロンドンやニューヨークでも見られないような気がする。(どなたか海外事情をご存知の方は教えて下さい。)
この携帯のルート探し、慣れると大変便利。また、余裕のある乗り換え時間を教えてくれるのもありがたい。これで、また人間の能力は退化したなぁ、と思わないではないが、表面上はゆとりのある「ゆっくり歩行」が実現したと言えるだろう。ストレスが減るから「良いこと」だと考えたい。
と、いささか「風が吹けば桶屋が儲かる」式の話になってしまったが、スイカも携帯もIT革命の産物であろう。今年のセンター試験の問題に、IT革命のお陰で就職口が変わったという話が載っていたが、私の見るところでは町の風景も変えてしまった、と思っている。
ところでITは一体何の省略か?
高校の倫社の先生が教えてくれた。
「イタレリ、ツクセリ」のイニシャルだそうである。