昔から音楽で食っていくのは大変だったが、現在ますます大変になっていると思う。
商業音楽の分野であっても、お金が回っていかない。それなのに、演奏家ばかり増えている。
クラシック音楽も同様。特に補助金なしでは成立しないオーケストラは危機的で、事業仕分けの前から補助金カットが相次ぎ、事業仕分け、震災と泣きっ面に蜂である。国がお金を出さないなら地方公共団体が出す訳がない。右にならえで、これまた補助金カットである。事業仕分けほどの悪政は無いのではないか、と言いたい。
と、文句を言うだけでは能がない。
聴きたいと思わない人に聴いてもらうのは至難の技だし、場合によっては有難迷惑にもなりかねない。
やはり聴きたいものを聴いてもらう、を基本にした方がスムーズだ。
聴きたいものの基本は昔から決まっている。
「知っている曲」
「新しい曲」
これに則って考えれば、聴いてもらうのは難しくない。
先日、神戸でお子さんを中心とした発表会にアドバイザーとして招かれたのだが、数分だけの演奏も同時に頼まれた。
条件として、ピアノ伴奏がない。これが辛い(とクラシック系の頭は反射的に思ってしまう)。
クライスラーみたいな楽しい無伴奏曲ができると良いのだけれど。
いや、天満さんは「からたちの花」でも堂々と無伴奏でメロディーだけ弾いていたな。あれでも良いと言えば良いわけだ。
しかし私が退屈だな。ハイフェッツ編曲の「故郷の人々」が頭をよぎる。ハイフェッツといえどもフォスターみたいなのを弾いてくれと頼まれた訳だ。平凡が嫌いなハイフェッツ、できたものは絢爛豪華なフォスター。こういうのがいいな・・・。
でも、神戸でなぜフォスターなんだ?
神戸と言えば・・・神戸だろ?
一つの歌しか思い浮かばない。
うん、これを豪華絢爛にやろうではないか。
いやはや、しかし、ええ歌やな。気持ちが入るで。この気持ちの入り具合は三重音の連続や。
会場にはヴァイオリンを練習しているお子さんも一杯やから、ついでにヴァイオリンの曲の引用をしこたま入れたろ。
という次第でできあがった「ファンタジア神戸」
自分で作ったものなので暗譜は簡単かと思いきや、さにあらず。次が何だったか、しょっちゅう間違えそうな状況の連続で、本人の出来としてはあまり良くないのではあるが、誰も今のところ弾いていないし、やはり何と言っても、「こういうことをもっとやろうよ」という提言でもあるので、敢えて公開にふみきった次第である。ヴァイオリンに詳しい方は、何曲引用されているか数えてみて下さい。