井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

熊本県立劇場

2008-02-06 09:12:36 | アート・文化

 先日のアンサンブル・ラボ・クマモトの公演に読売日本交響楽団のヴァイオリニスト、古田川達男氏が参加してくれた。古田川氏は熊本ゆかりの人、ではない。なのになぜか、というと古田川氏が熊本県立劇場に惚れ込んでいて、今のうちに、このホールで弾いておきたいからだそうである。

 古田川氏によると、このホールでは音が輝いて降りてくるのが見えるという。世界の音楽ホールのベスト3と断言された。ちなみにあと二つはムジークフェラインザールとスペインの使われなくなったホール。

 確かにすばらしいホールであるのは言を俟たないが、その後いくつもすばらしいホールができたから、それと比較してどうなのか、私には評価が下せない。九州内では佐世保のアルカスと福岡のアクロスが評判良い。氏も国内で良いホールとして、札幌のキタラ、川崎のミューザを挙げた。しかし、それを上回っての遠距離恋愛なのだそうだ。

 1983年開館。座席は、最近のホールより客席がやや狭い。採算のことも考えてと思われるが座席数が多く、3階席まである。残響が「ワン・ヲン」と2段階で聞こえる。現在の水準では、もっと良いホールが出来ているのではないか、と思っていた。ただ特筆すべきは反響板がなく、全部「壁」。上述のアルカスもアクロスも側板と呼ばれる可動式の板を使っているのと比べると、がっしりした安定感があるのは頼もしい。

 古田川氏によると残響は3段階!これが聴衆がはいると、ちょうどきれいな残響になるという。(このあたりの観察が、まだ私には足りていないと反省。)

 そう難しく考えなくても、常に気持ち良く演奏できるのは確かだ。このホールに小さい時から親しめる熊本市民・県民は大変幸せだなぁと思ったことは多々ある。
 それを証明するかの如く、合唱と吹奏楽と管弦楽がバランス良く発展しているのは九州で唯一の県である。(他県は吹奏楽が他を圧倒している。)オーケストラもユース、大学(2)を合わせると七つもある。

 さらに驚いたのは、小学生の「合奏祭」というのがある。いわゆる「リード合奏」の大会で、「合唱祭」や「吹奏楽祭」に相当するものだ。一昨年、福岡のRKBのコンクールで青息吐息状態の「福岡県リード合奏状況」を聴いた身としては、信じられない盛況ぶり。これも他県の例を寡聞にして知らない。

 これが全てホールの影響とは言えないにしても、果たしている役割は大きいだろう。合唱や吹奏楽の九州大会は各県持ち回りなので、特に他県からの演奏者は、このホールの演奏しやすさを異口同音に感じるという。
 これからもみんなで大事にしていきたいホールである。