井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

カナダと台湾は似ている

2018-06-25 22:20:01 | アート・文化
カナダ・バンクーバーの「ターニングポイント・アンサンブル」が台湾の「小巨人絲竹楽団」と共演したのを聴いた。

「小巨人~」とは奇妙な名前のようにも思えるが、民族楽器のアンサンブルである。
当初は民謡等、民族楽器にとって当たり前の物を中心にやっていたが、それではスキルが上がらないとのことで、言うところの「現代音楽」を演奏するようになったそうだ。

この「小巨人~」にも台湾政府がかなり援助をしているようだ。

演奏会も「国家音楽庁」という威容を誇るバカでかいホールでやる。
その向い側には演劇専門の、やはりバカでかい劇場がある。

どちらも「中正紀念堂」という蒋介石の顕彰施設の隣にある。いかに大事なものであるかということだ。

台湾人の説明によると、台湾にとって文化は非常に大事だということだ。文化がないと中国になってしまうから…。

あれ?
これはカナダの説明と同じではないか。
文化がないとアメリカになってしまう、という…。

意外なところで台湾とカナダは似ていた。

アートか、エンターテイメントか?

2018-06-17 21:45:45 | アート・文化
聴衆が集まらない演奏会に助成はできない、というのが、日本ではほぼ常識である。

「聴衆の数を何故問題にするのですか?シューベルトの歌曲の初演は常に10名程度でしたよ。」とカナダ人は言った。

なるほど、そういう論法があるか。

「私達はアートをやっているのです。エンターテイメントではない。」

そうか、その論法が通じるのだな…。

しかしそれならば、敢えて反論を試みたくなる。(実際には反論していない。)

シューベルトの歌曲は、今では立派なアートだが、シューベルトはアートだと思っていただろうか。聴きに集まった友人達はアートを観賞しているつもりだっただろうか。

私が思うに、シューベルトは友人達を精一杯楽しませたい、友人達も新曲を楽しみたい、と思って集まったシューベルティアーデだったと思うのだ。楽しませる=エンターテイメントである。

ハイドンやモーツァルトだって宗教曲以外は目一杯楽しませることを考えていたと思う。バッハだって、協奏曲の類いはそうだろう。

だから、私はエンターテイメント性を重視する。

エンターテイメントではなくてアートなのだから助成せよ、という論法はしっくりこない。これはエンターテイメントなのだから助成せよ、どちらかというと、そのような考え方かもしれない。

現代音楽専門の演奏団体

2018-06-11 20:52:36 | アート・文化
「ターニングポイント・アンサンブル」という、現代音楽専門に演奏するカナダのグループの演奏を聴いた。総勢15名、弦楽器、木管楽器、金管楽器、全て1パート一人で、それに指揮者がつく。

そして翌日、そのアンサンブルの関係者に話を伺うことができた。

カナダには現代音楽専門の演奏団体はいくつかしかなく、その中の一つになるという。

それでも、それで成り立っているのだから素晴らしい。日本に現代音楽専門の常設の団体は0だ。

と言うと、今度は向こうがびっくりした。「毎年、あれだけ優秀な専門家を日本の音大は輩出しているのに、彼らは一体何をやっているのか?」

そうねえ、私も知りたいところだ。恐らく、クラシック音楽をやっているのではないだろうか。

「日本には、そんなにクラシック音楽を聴く人がいるのか?」

いや、いないけど、現代音楽を聴く人はもっといないし……。

「欧米では現代音楽をやらないと聴衆がいないから現代音楽をやっているんだ。」

そうなのか……
でも、お客さんが来ない演奏会には行政も企業も援助できないって言われるんです。

「ああ、それはカナダ政府も同じようなことを言う。でもその時は『そのように、お客様が来るのが良い催し、来ないのは悪い催し、なんてアメリカ合衆国みたいな考え方していたら、カナダもアメリカになっちゃいますよ』と言う。すると途端に手のひら返すんだよね。」

ふーむ、そういうものか……。