今年の卒業生に、他大学を中退して、入学し直してきた男がいた。我が大学に4年通って感じたことを聞いてみた。
よかったのは、教員と学生が1対1で付き合う機会が頻繁にあったこと。前大学はマンモス大学なので、ほとんどありえないとのことだった。
良くなかったことは、学生が何のために大学に来ているのかわからない様子の者が多かったこと。 確かに、音楽関係所属の該当学年は卒業できなかった者が多いし、学習意欲があまり強くないように見受けられた者が少し多かったような気がする。
もっとも、かなり熱心に努力していた者も同時にいた訳で、全てがそうだということでは決してない。
多分、のんびり気分を発散している人間がちょっと多いと、それに引きずられる者が増える、という構図なのだろうと推察した。
その「のんびり気分」を発散していた人間の一人と、私が認識していた人間とも話した。「4年を終えて、どうかい?」
「高校の時の方が充実していました。」 「…?!」 「高校の時は、みんな学校に居る時といない時と、きちんと頭を切り替えて、家に帰ったら自分のやるべきことをちゃんとやっていたけど、大学はみんなズルズルと過ごしていて…」
何かぬるい感じだったという。 そういう雰囲気を作ったのは、あなたでしょう!と言いたかった。
しかし、それ以前に、この強力な他力本願体質に呆れ、それを認識していなかった自分を恥じた。恥じたどころではない。かなりショックだった。そんなことを考えているとはつゆしらず、だったからだ。
ここまで他力本願で良いとは思わない。でも、自分も含めて、他力本願体質はほとんどの人が持っているだろう。だから、他力本願体質を単純に悪くは言えない。
察するに、新年度スタート時に、誰かが「張り切りモード」で行動すると、何となくそのような雰囲気が醸し出され、全体が活気づく。
それは、その年の学生の資質による部分が大であるが、教師の一言で変わることも多分にある。それができなかったことに、かなり悔いがのこった。
そんなことがないように、と毎年4月は緊張する。ああ、また今年もその時期が近づくなぁ……。