井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

私の好きなプレヴィンは

2018-07-31 07:50:00 | 音楽
ラフマニノフが得意なプレヴィン、それは嫌いではない。

メシアンのトゥランガリーラ交響曲も鄭ミョンフン盤よりずっと良い。

ラプソディー・イン・ブルーも悪くない。しかしこれはバーンスタイン盤がもっと良い。

プレヴィンの感覚を疑い始めたのは、ファリャの三角帽子、第2組曲を聴いてからだ。こんなに燃え上がらない演奏は聞いたことがない。誰がやっても盛り上がる曲だとばかり思っていた。

それ以降、私のプレヴィンの評価は上がることがなかった…

と言うと、不正確。

ジャズ・ピアニストとしては大好き。

昔、いとこからもらった《マイ・フェア・レディ》という、ジャズのピアノトリオのLPを聴いていた。これが最高に良い。

他に《ウェストサイド物語》のピアノトリオ、《マイ・フェア・レディ》のカルテット盤(ギターが加わる)もFMで聴いたが、これらもすべからく良い。

そう言えば、映画版の「マイ・フェア・レディ」でもプレヴィンの名前がクレジットされていた。

ついでに思い出したが、やはりミュージカル映画の「ジジ」では音楽担当者としてアカデミー賞にノミネートされていたはずだ。しかし、実際オスカーを手にしたのは「ある愛の詩」のフランシス・レイで、そのニュースを日本で聞いたプレヴィンは、なかなか複雑な表情をしていたと、何かで読んだ。

その何かはクラシック音楽の雑誌だった。ロンドン交響楽団の指揮者として来日中のインタビュー記事だったと思う。

要は、もう既に一流のクラシック音楽家として評価され始めていた時期の話である。そして、それから現在に至るまで、プレヴィンのことをジャズ・ピアニストと思う人はいないだろう。当人もそれを望んでいる感じだし、ジャズ界でもジャズ・ピアニストの中に入れている感じはしない。

しかし、私としては、あのジャズ・ピアニストのプレヴィンが一番素晴らしかったのでは、と思えてならないのである。ご当人とすれば、多分不本意であろうけども。

ラフマニノフならワールト、らしい

2018-07-26 08:15:02 | 音楽
我ながら訳のわかっていないご託を並べていたら、自称〈ラフマニノフの専門家〉から連絡があった。

ラフマニノフなら【エド・デ・ワールト】が第一人者とのこと。そして、大分距離をおいてヤンソンス、かなぁ、だった。

ワールトのラフマニノフは交響曲のみならず、協奏曲の指揮者としてもかなり良いそうだ。

ワールトですか…。

考えてみたら、生演奏はもちろん、録音でさえ、ワールトの演奏は聞いた記憶がない。
それはラフマニノフの専門家が日本にいなかったからか…。

冗談はともかく、なぜオランダ人なのだろう。

オランダという国は、なかなかよくわからない。
平地だから隣国ドイツのテレビ電波が普通に入ってくる。
そして、ヨーロッパでイギリスの次に英語が通じる。

ラフマニノフの性質は英国人をくすぐる何かが多いのか。
それを言えば、日本人だってなかなかどうして、ラフマニノフは大好きな部類だろう。

私は敬遠していたが、ある時、ラフマニノフの《ヴォカリーズ》のピアノパートを弾いて愕然とした。
気持ちいいのである。
道理でピアニストがやりたがる訳だ。
あのまとわりつく音型が、自分を包み込む快感!
ヴァイオリンではなかなか味わえない感覚だった。

多分、そう思う人は多いだろう。
その中から、ワールトを超える存在が出てくることを期待しよう。

ラフマニノフならプレヴィン、か?

2018-07-16 18:42:00 | オーケストラ
昔は、チャイコフスキーならカラヤン、みたいな「定評」のようなものがあった。ムラビンスキーはちょっと怖くて、スベトラーノフはちょっと大げさで、万人向け化粧濃いめがカラヤン、みたいな。

ではラフマニノフは誰なのか?

昭和の時代、家庭の一部に入りこんでいた名曲全集のようなものに、ラフマニノフはなかったのだ。
音楽室の年表にもなかったと思う。
小学生の私が知っていた近代ロシアの作曲家はストラヴィンスキー、プロコフィエフ、ショスタコービチ、ハチャトリアン、カバレフスキー(これらは年表に載っていた。なのでラフマニノフは一流と見なされていなかった可能性もある。)で、ラフマニノフを知ったのは中学生になってから。

さらに、交響曲第2番を聴いたのは高校生になってから。
第一印象は「なんという優柔不断な旋律!はっきり言え!」

演奏はアンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団。1977年のザルツブルク音楽祭の実況録音のFM放送。

それでもカセットテープに録音して数十回は聴いた。
第3楽章で驚いた。その頃はやりの曲のサビがいきなり出てきたのだから。

これが何を意味しているのかわからない気持ち悪さもあり、結局この曲を好きになることはなかった。

そして最近、FMからプレヴィン/ロンドン交響楽団のこの曲の録音が流れてきたのを聴いた。

そう言えば、この曲を得意にしている指揮者というのが思い浮かばないことに気づいた。ロシア人、アメリカ人、ドイツ人、フランス人…

ラフマニノフならこの人、という指揮者が思い浮かばない。これはなかなか珍しいのではないだろうか。
その中で、プレヴィンのラフマニノフは悪くない。

え?ひょっとして、プレヴィンはラフマニノフの第一人者?

ラフマニノフの交響曲第2番はアマチュアに向いている

2018-07-13 08:31:00 | オーケストラ
私にとって5本の指に入る難曲、という位置付けだったこの曲、今世紀に入ってから、アマチュアオーケストラがよく演奏するようになった。
多分、2003年に著作権が切れたからだろう。

今から20年くらい前、私が指導していた大学生のオーケストラがこの曲を演奏したいと言いだした時、私は大反対したものだ。
前述の通り、私にとっては難曲だったから。

しかし、それでも結局プログラムにのった。
そして本番を聞きに行って、唖然とさせられた。

2楽章の難所は全く聞こえない、だけではなかった。

3楽章と4楽章の弦楽器の聞かせどころが実に美しく響きわたったのだ。

え?こんなにうまくなったのか?とその時は思った。

この「聞かせどころ」、よく考えてみれば技術的にそう難しい訳ではない。

大学生のオーケストラだから、楽器を初めて間もない、いわゆる「初心者集団」がある程度いる。が、この「聞かせどころ」は、その初心者達でも手が届く技術レベルだ。

だから、この「聞かせどころ」は、曲がりなりにも初心者達も弾く。
そうすると、弦楽器全員が曲がりなりにも弾くことになるから、会場に弦楽器が鳴り響くことになる。

結果、オーケストラの評価まで上がってしまうこともある訳だ。こんな曲はそうそうあるものではない。

それらが、筆者をしてアマチュア向けと言わしめる所以である。
だからと言って、プロに向いていない訳ではない。それはもちろんである。
ブロの技術がないと演奏が困難な場所は、前述の通りいくらでもある。

繰り返すが、こんな曲はそうそうあるものではない、と改めて思う。

ラフマニノフ:交響曲第2番

2018-07-09 08:17:00 | オーケストラ
その昔、4~5年ではあるが、在京のオーケストラのエキストラ奏者の仕事をしていた時、この曲に出会ったことは一度もなかった。
仲間が練習したり、話題に上がったことも全くなかった。
なので、この曲が日本でよく演奏されるようになったのは、平成になったあたりからではないかと、勝手に思っている。

初めて弾いたのは群馬交響楽団のエキストラ奏者としてである。

三日間リハーサルがあれば、三日目には大抵弾けるようになっているものだ。それで怪しくても、本番前の会場リハーサルではさすがに弾ける。

が、この曲に限って、そこに至っても弾けない箇所があった。第2楽章の再現部直前のテンポが上がっていく部分だ。

その箇所は金管楽器と打楽器が景気よく鳴り響く部分なので、ヴァイオリンパートなど聞こえるはずもなく、正直言ってそこでバッハのメヌエットを弾いても他人にはわからないのであるが「オーケストラの曲で弾けない曲はない」を標榜していた私としては一大事だった。

結局、本番ではギリギリセーフで弾けた。やれやれ。

ここまで弾けない箇所が残ったのはメシアンのトゥランガリラ交響曲くらいで、以来、私の中では記録的難曲である。
(ちなみに本番でも弾けなかったシェーンベルクの《グレの歌》が最上位)