井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

ザ・ピーナッツを聞くとサラサーテが弾ける?

2012-07-10 01:04:58 | ヴァイオリン

「風が吹けば桶屋がもうかる」という話がある。それを思い出すことがあった。

サラサーテの小品と言えば「チゴイネルワイゼン」が有名だが、サラサーテの作品群の中では、やや異端児的存在だ。

サラサーテの作品の中核を占めるのは、やはりスペイン的なものなのである。

サラサーテは手が小さかったとのことで、パガニーニの作品は弾けなかったらしい。でもパガニーニと同等以上の作曲能力があり、手が小さくても弾ける技巧的な作品を多く残している。

なので、ヴァイオリンを弾く人で手の大きくない人は、積極的にサラサーテを弾いた方が良いと思う。

そのような考えもあり、ある学生にサラサーテの「マラゲーニャ」を弾かせた。

が、何ともマラゲーニャらしくならない。

あの~、マラゲーニャ、知らない?

カルメンにもあったと思うけれど・・・(どれだったっけ・・・思い出さない)

じゃ、レクオーナの「マラゲーニャ」、聞いたことあるでしょ?

あ、レクオーナと言ってもわからないか・・・

レクオーナはキューバのガーシュウィンと呼ばれる作曲家、などということはほとんどの人が知らなくても、レクオーナの曲は誰でも耳にしたことがある・・・はず。いや、自分が子供の頃はそうだった。みんな「マラゲーニャ」のタイトルは知らなくても、聞けば「ああ、あれか」と思ったはずだ。

しかし、なぜみんな知っていたのだろう?

昔は「ラテン音楽」というジャンルがあった。それくらい親しまれていた、ということもあるだろう。

レクオーナでさらに有名なのは「そよ風と私(アンダルシア)」。

これがちょっと訳がわからない。クラシック音楽風の3拍子バージョンとビギン風の4拍子バージョンがある。

世間で有名なのは後者だと思う。

しかし、便利な世の中、ちょっと調べたらたちどころに訳がわかってきた。

カテリーナ・ヴァレンテCaterina Valenteという歌手がいて、彼女のためにレクオーナが自作を改作したものを2曲提供したようだ。比較していただきたいが、かなり大胆な改作だと思うが、これが大ヒット。

でも日本で有名なのは恐らくこのヴァレンテのカバーと思われる。ヴァレンテのカバーを一手にやっていたのが「ザ・ピーナッツ」だったそうだ。

「ザ・ピーナッツ」で我々は育ったので、なるほど当時の日本人はみんな知っていた訳だ。

「ザ・ピーナッツ」には「恋のフーガ」という教育的な歌もあったな。「追いかけーて、追いかけーて・・・」というのは「フーガ」の本質をついている。フーガの訳語は「追走曲」「遁走曲」であり、「追いかける曲」がフーガなのである。当時の日本人は、みんなフーガの本質を知っていた。AKBもこのくらいのことをやってくれれば、多少は見直すのにな・・・。

ということで、伊藤エミさんのご冥福を祈ると共に、レクオーナを聴いてサラサーテを弾きましょう!




世界のYouTubeが認めたパヴァーヌ

2012-07-03 00:09:06 | ヴァイオリン

「梅鶯林書」の「梅の巻」「鶯の巻」はようやく問屋(大阪村上楽器)から配本の行動に移ったとの連絡があった。多くの皆さんをお待たせしていて申し訳ありません。

それに先立ち、内容を紹介する動画をYouTubeを使って公開している。このYouTube、最近著作権管理が厳しくなったとのことだが、無駄にスゴイことをやっている。

「梅の巻」ではモーリス・ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」の冒頭を教材として使用している。

よたよた練習して、やっとここまでできた、というレヴェルなのだが、とりあえず出来上がりの動画をアップロードすると、しばらくして、以下の表示が出てきた。

第三者のコンテンツと一致しました。

これのスゴイのは、この動画がパヴァーヌであることを一言も情報として記入していないのに、パヴァーヌであるとYouTube側が判断したことである。この演奏で・・・

</object>

これの不便なところは、そのメッセージが出たら、文字情報、公開範囲等も含め、一切の編集ができなくなることだ。

この申し立てを無効と考える人は、というリンクがあって、たどっていくと一応取り消す道は残されているようだ。しかしかなり煩雑なのである。

なので、それは一旦削除して、タイトル等を記入し改めてアップロードをしてみた。件のメッセージが出なければ編集はできる。さて、どのくらいでメッセージが出るか、注視していたら「3分」後・・・

第三者のコンテンツと一致しました。

一致したからどうだというのだ、と言いたいが、YouTube側は著作権保護に抵触していると見なしているようだ。それは明らかに間違いだ。ラヴェルは1937年に亡くなっているから死後70年以上たっている。立派にP.D.パブリック・ドメイン、公共財になっている。

それにしても3分で、どうやって判断されたのか?リンク先には、以下の文章がある。

あなたの動画には、次のような著作権で保護されているコンテンツが含まれている可能性があります:

    • <label class="radio-label" for="claim_select_3atebL1bX94">"Pavane Pour Une Infante Defunte"</label>

ちゃんと正しいタイトルが付記されている。世界中からひっきりなしにアップロードされる動画をいちいちチェックして、正しいタイトルまで瞬時に判断して、送りつけるエキスパートがいるとはとても思えない。

多分、メロディに反応する機械があるのだろう。カラオケで点数を出す機械のようなものかもしれない。このたどたどしい演奏にも反応するとは恐れ入谷の鬼子母神。

しかし、これで笑えるのは、以下の動画には何のメッセージも出てこないことである。

</object>