問題は多々感じていたが、これは交通センターが悪いというよりは、運用の問題もある。
そうは言っても、できたばかりの(半世紀前の)交通センターは、夢にあふれた場所だった。
そこに熊本の全てのバスが集結し、その後、高速バスの時代になると、九州各県のバスが出入りするのである。
一時はデパートもあった。最初にあったのは「岩田屋伊勢丹」という福岡と新宿が同居したデパート。何だかすごいと感じたものだった。
交通センターの上には、ちょっと高級なレストランがあり、人生で初めて「コース料理」を食べさせてもらい、満腹で動けなかった思い出もある。
そこの窓から見下ろすと、スクランブル交差点。一説によると日本初だそうで、少なくとも渋谷よりは、早くできていた。
当時の小学生が、みんな自慢した「交通センター」だったのだ。(熊本は子供の頃からお国自慢をする土地柄だった。)交通センターの欠陥に気付く訳がない。
そのワクワク感、桜町バスターミナルにはちょっと感じなかったのが残念。
交通センターは、バス停が(屋根はあったが)外に配置され、いろいろなバスが出入りする様子をあちこちで見ることができた。
桜町は全て屋内で、それが出来ない。鉄道で言うプラットフォームも2面あるだけで単純。出入りはスムーズだが、見る楽しみには欠ける。
ビルの外観はなかなか素敵なのである。福岡のアクロス同様、階段状のテラスに植栽がある。
しかし、中に入っての感動は皆無。その種の感動は交通センターもなかったけど、ほど近くにある市民会館や、ほど近くではないが同市内にある県立劇場は、入る度に私の心が動かされる。
10年くらい前だったか、東京ミッドタウンに行った時は感動したものだ。その後、羽田空港やら大阪駅やら、壮大な建物が増えたので、これが21世紀標準、と思い直すことにしたのだが、それからすると、何も見るべきところが無いのが残念。
唯一の期待が「熊本城ホール」。
まだ中に入る機会がないけれど、恐らく良いホールなのではないかと勝手に思っている。
そのホールにバスターミナルが直結しているのは、かなりのメリットだ。
交通のセンターだけではなく文化のセンターとしても期待したい存在である。
写真はホール入り口のディスプレイによるホール内部の写真。