それほど好きな曲ではないのだが、好きな人も結構いて、その中の一人の学生に付き合っていろいろと調べていると、わかったことがある。
まず、このスケルツォ楽章はブラームスの生前には発表されていなくて、平凡社の音楽大事典によると、ブラームスの作品の系譜が始まる前の習作と位置づけられていた。
F.A.E.ソナタは、ディートリヒ、シューマン、ブラームスの合作だが、このスケルツォ楽章は、ブラームスにしてみれば、シューマンに弟子入り(?)してすぐの作品とも言えようか。のっけからベートーヴェンの「運命の動機」が出てきて、ベートーヴェンの継承者ですよと宣言して始まるような冒頭。かわいいと言えばかわいい。
そして1853年の作品とのことだが、シューマンはこの年、ヴァイオリン・ソナタの第2番を出版している。作曲したのは1851年。
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それにしても、この映像はチョン・キョンファばかりを撮しているなぁ・・・。
というカメラワークに注目してほしい訳ではない。たまに映るイタマール・ゴランがロン毛なのをご覧・・・。
というつもりでもない。第2楽章を聞いてご覧、である。12分28秒あたりから第2楽章だ。
そして、このスケルツォを聴く。
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おやおや、ベートーヴェンだけでなく、しっかりシューマンに忠誠を誓っていますなぁ。
そして、ブラームスは12年後、ホルン三重奏曲を作るのだが、今度はそのフィナーレを聴いていただきたい。
12年たっても進歩ないなぁ、と言うべきではない。FAEソナタの段階で、既に後の傑作(交響曲第1番、ピアノ五重奏曲、そしてこのホルン・トリオ)の萌芽が垣間見られる、と表現しておこう。
しかし、このトリオは割と地味な曲だと思っていたけれど、パールマンが弾くと華やかだなぁ。普通に演奏するとホルンが大きすぎてバランスが取りにくいのに、この演奏は何とヴァイオリンが賑やかなこと!
コメントを見ると、パールマンが軽すぎ、とか何とか書いてあるけれど、いやいや、どうしてどうして、私はひたすら感服してしまう。