標記のタイトルの看板がかかげられていたので,韓国では「演湊」と言うのかと思いきや,本番直前に「演奏」に訂正されていた。
という訳で,行ってきました福岡教育大学管弦楽団ご一行68名。病気や怪我は全くなく無事に帰って来たと,一応は言えるのだが,予想しないできごとが随所に起きる珍道中でもあった。
8日,朝8時半のジェット船,ビートルに乗るのに博多港に7時集合。少し早めにはいろうと思って6時40分に着いた。すでに着いている学生もいる。しかし,港は6時50分にしか開かなかった(予想外)。
案の定,遅れてくる者もいたが,集合時間を早めに設定したため,完全アウトは皆無。注意,連絡等しても7時45分,乗船手続きができるのは8時からだから,しばらくフリーにしていたら,8時15分になってもまだ来ない学生が何人も。両替に行って帰って来なかったのだ(予想外)。
それでも何とか間に合って,出国。海も揺れず,釜山にもあまり遅れずに着いた。現地では留学が始まったばかりのN,今回通訳やナレーターをお願いしたユさん,そして今回の招聘団体,Edu-phil.の顧問の教頭先生が出迎えに来てくれた。そこで歓迎の花束まで受け取った(予想外)。
今回,我々の移動は原則地下鉄である。韓国の方にバスを頼むのは簡単だ。しかし,韓国の方がいつの日か来日した時,こちらがバスを用意するのは簡単ではないからだ。という次第で,港から地下鉄「中央洞」駅まで,ご一行がゆっくり進む。始めての海外旅行者も多いから,車の右側通行にも慣れていない。(これは始めてでなくても慣れていない。)信号一つ渡るのも,かなり時間がかかった。
でも教頭先生が地下鉄の団体切符を用意してくれていたので,かなり安くで地下鉄に乗ることができた。(1100ウォンの20%off,88円!予想外)
その後,ホテルに一旦荷物をおろして,釜山教育大学校へ向かうのだが,釜山の地下鉄にはほとんどエスカレーターが設置されていなかった。特に「教大前」駅は改札を出てから一旦線路をもぐって向かい側の改札口に出て,さらに出口まで階段を上るのだから,かなりの運動量だ。そして出口から大学の正門まで,さらに坂道を上るのであった。(知っていたのに忘れていた)
15時から,本番会場である大学構内の「グランドホール」にてリハーサル。なかなか会場の響きがつかみにくかった。でも,続けるうちにそれなりのまとまりを見せてきたので,今日のところはこれで良しとしなければならないのだろう,という感じか。
招聘者のパク・ジョンヲン先生も姿を見せてくれた。癌に冒され,かなり辛そうではあったが,お目にかかれて本当にホッとした。この話が始まってからの発病で,今となっては,この公演の成功は悲願に近いものに変わっていたからだ。
その夜は,それぞれ分かれて夕食をとった。昼間,予想外に時間がなく,おまけに用意したはずの軽食を自宅に置き忘れ,カロリーメイトだけでしのいだので,もうフラフラ。釜山教育大学校のヤン・ジョンモ先生,キム・ギルス先生が食事に誘ってくれたのは本当にありがたかった。同行の引率者,N先生やユさん共々,刺身料理をごちそうになった。
2日目の午前中,買い物したい人はついておいで~,というとゾロゾロ20人以上集まった。彼らを引率してEマートというスーパーマーケットへ行く。普通に歩けば10分ちょっとのはずが20分かかってたどり着く(予想外)。
「先生のお勧めは何ですか?」
「アカシアのハチミツと桃の紅茶かな?」
と言ったがために,蜂蜜と桃の紅茶は,あっという間に売り切れてしまった(予想外)。韓国のお盆に相当するチュソクの直前のため,チュソク商品に力が入り,一般商品はやや品薄気味だったのも,タイミング悪かった。
ホテルに戻ると,すぐ大学へ移動である。一回くらい団体切符でなく券売機で切符を買ってみよう,と冒険心を出して,またこれが裏目に出る。千ウォン札を入れても入れても,はじきだされてくる。こりゃ機械が壊れている,と思ったら,親切な韓国のおじさんが教えてくれた「Inside!」
千ウォン札を左側に寄せて入れないと,機械が反応しないのである。How omboro!(予想外)
一人ずつ買っては時間がかかるから,まとめ買いをしよう。5枚までは買える。機械に札を入れようとして気づく。「千ウォン札がない!」券売機は千ウォン札しか使えないのだ。How 不便!あせっているから,離れたところにある両替機に気づくのにも時間がかかった。
改札を入るのに,これだけ手間取った。やれやれと思ったのもつかの間,電車に乗れたと思ったら,ホームに二人取り残されている。おいおい,のんびりしていちゃ困るよ,と思わずにはいられない(予想外)。
さあ,「教大前」降りるよ,と声をかけ,全員降りた,つもりが,まだ車内に7,8人残ったまま,ドアはしまって発車してしまった。おいおい,前の人に付いて来れないようじゃ,指揮についてくるのはまだまだ先の話かい,と思わずにはいられない(予想外)。
後で聞いたら,ちゃんと付いて行ってたのに,突然ドアが閉められたのだそうだ。日本では考えられない。韓国人も特に慌てている風ではなかった。おいおい,日本人を殺す気か?(想定外)
本番の日なので,あまり遠出はしたくない。昼食は大学構内でお願いしたいと,構内食堂に予約を入れていた。330円の「教職員定食」が用意されていた。栄養価は良いのだが,辛い!口がしびれて吹けない,と言った学生も出て来た。この予約は釜山の先生にお願いしたのだが,ちょっと失敗かも(予想外)。
と,周辺のことは実に予想外だらけで,心労神父になってしまったが,音楽に関することは,良い意味で,予想外に上手く行って,予想外の帳尻を合わせることができた。
特に,初・中等教員養成課程の3年生の合唱「マリア観音」と井財野の「試作品」は好評を得た。ナレーターのユさんは,英語専攻で,楽譜が読める訳でもないのにタイミングはバッチリ,本番では熱演だった。
日本語では「十字架にかけい!」というところを「シッチャガエ,メラルコラ!」と叫ぶ。これは演奏者にも大受けだった(予想外)。
教師オーケストラの皆さんとの共演も,ほとんど問題なくできた。だから,予想外シリーズは,良い思い出シリーズに変わるのである。
翌日になって,国際市場で買った桃の紅茶は700円,その後に案内した農協購買所では同じものが300数十円!
と,またボッタクラレようが,良い思い出だ。クェンチャナヨ(気にするな)!