井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

今上天皇にまつわる音楽

2019-04-30 10:57:35 | 音楽
何かにつけて「平成最後の~」が連発され、辟易している人もいるらしいが、私の周りには幸か不幸か誰もいない。よって私が一人で「次は令和で~」を連発する今日この頃。いや今日までだった…。

「クラシックの迷宮」というFM番組は、常に驚かされるのだが、先日も今上天皇にまつわる音楽が紹介され、びっくり仰天だった。

まずお誕生を祝って、中山晋平、山田耕筰、橋本國彦が曲を作っていること。大正天皇が祝福された話は寡聞にして知らないし、浩宮様の時代にはすでになかったのではないだろうか(あったのかなぁ)。

とは言え、中山の童謡も橋本のカンタータも初耳。しかし、その後、平成を振り返るテレビ番組ではBGMで繰り返し使われていた。要は聞き流していただけか…。

もう一つ驚いたのは、演奏したことがある曲が2曲含まれていたこと。

一つは「祝典行進曲」。
高校の体育館で先輩方が演奏しているのに、何だか引き込まれてしまって吹奏楽部に入ってしまったきっかけの曲。
佐世保のオーケストラで團伊玖磨特集をやった時、オーケストラ版の指揮もさせてもらったこともあった。

もう一つは山本正美作曲の「ねむの木の子守唄」。こちらは美智子妃殿下の作詞という関係だが、やはりここ数日テレビで流れることが多かった。

こちらは正直言って子どもの頃はあまり好きな曲ではなかった。
が、夫君である山本直純氏の指揮で演奏した時、その編曲の素晴らしさに驚嘆し、評価を180度変えたのだった。

ついでに述べれば、山本正美さんは、あまりに奇抜な格好をされるので、ちょっと近づき難かったが、「春が来た」という管弦楽曲はとても面白く、またそれを指揮する直純さんも素晴らしかった。

ということで、私の好きな曲が今上天皇陛下に関わる曲だったことを、ほぼ考えたことはなかった。

次の浩宮様に関わる音楽は、どれだけあるのか、作られるのか。

ご成婚の時の「新祝典行進曲」は同じく團伊玖磨作曲だったが、出来が良くなかったようで、その後耳にすることがない。

良く考えると2曲とも高度成長期に作られている。平成ではない。

うーむ……。

とにかく、令和は実りある時代にしたいものだと、今さらながら思った。

平成14年に始めた本ブログ、ここまで読んでくださりありがとうございました。

令和でもよろしくお願いします。

豊肥本線「平成駅」ごった返しています。

クロイツェル20番②「伝統のミスプリント」

2019-04-25 07:40:00 | ヴァイオリン
IMSLPでクロイツェルの練習曲を見つけて、まず驚いたのは、曲数が違うものがあることだ。

ずっと「42の練習曲」だと思ってきたが、「40の練習曲」もいくつかあった。なぜか2曲少ないものもあったのである。

だから20番ではなく、19番となっているものもあった。

そして件の箇所なのだが…

「ほら、やっぱり…」
という、これが正しいと思える版が見つかった。

ところが一方、全音篠崎版と全く同じ内容の「ミスプリント楽譜」も見つかったのである。
篠崎版は、恐らくこれに盲従したので、勝手に間違った(?)訳ではなさそうだ。

さらに、篠崎版とも異なるミスプリント版まで存在した。

こうなると、もう何が正しいのやらわからなくなってくる。ミスであろうが非音楽的であろうが、トリルの練習になれば良い、と思う人も出てきておかしくない。

しかし、ともすると無味乾燥な練習になりやすいエチュード、わずかなことでも「正しい形」であってほしいなあ。

あなたもお子さまも官房長官

2019-04-20 10:49:03 | 日記・エッセイ・コラム
とあるスーパーマーケットで、こんなコーナーが作られていた。



30年前を如実に思い出す。

「Xデー」に備えて、各テレビ局が秘密裏に番組を制作、それにオーケストラも駆り出され、特別番組の収録があった。しかし、いざとなると、何か古さが出てしまい、結局放送されなかったものも多々あったようだ。

そんな準備があったといえばあったが、やはりその日は突然来た。

時の小渕官房長官が元号を発表、「ふーん、こうやって発表するんだ」と思ったものだ。

日本史上2番目になる、官房長官が発表する元号。幸いにして、今回は突然ではない。
祝賀ムードが漂い、こうしてエンターテイメントにするところもでたのは、素直にめでたいと言っておこう。
眺めているうちに私もやりたくなってしまったし。

背景には、何とか良い時代になってほしいという、日本国民の切なる願いがあると思う。

では、残り少ない平成を、精一杯生きていきるとしようか。

クロイツェル20番①「永遠のミスプリント」

2019-04-17 22:39:00 | ヴァイオリン
《クロイツェル42の練習曲》は、ヴァイオリンを学習する人は必ず練習するものだが、平凡社の音楽大事典には「特にトリルの習得に優れている」というような記述がある。

確かにそうだ。8曲ほどの練習曲を全て練習すれば、トリルができなくて困ることはなかろう。

しかし、段々マンネリ化して、後ろの方は「とりあえず一応やっとくか」みたいな感じになりやすい。

大体、そのあたりからトリルも出来てくるから、多少完成度が低くても、まあ次でできれば良かろう、と思って先に進んでしまう(のは私だけ?…かもしれないけど)。

それで、半世紀近く見過ごしてしまったことがある。

私はずっと全音版を使っているが、この20番、7割ほど進んだところで、何調だかわかりにくい箇所がある。

自分が弾いたのは半世紀近く前、あとは専らレッスン生が弾くのを聞くだけなのだが、このあたりは皆さんふにゃふにゃ弾くことが多くて、音を外すことも多いから、調性感が弱くても、それは弾き方の問題と勝手に思っていた。

しかし、最近立て続けに生徒さん達がこの曲を練習しているのを聞くことになって、ようやく「何かおかしい」ことに気づいた。
つまり、ミスプリントの可能性があるように思えてきたのである。

以前は、何年も版を重ねてミスプリントが残るはずはないと勝手に思っていたが、さにあらず。私は「永遠のミスプリント」と呼んでいるが、例えば23番にある32分音符は、正しくは16分音符。しかし、半世紀以上ミスのままだ。

驚くには当たらない。シェフチーク(セブシック)には1世紀ミスのままというのがある。21世紀になり、さすがに新しい版が出たのだが、新たなる「ミスプリント」箇所が生じた。やはり「永遠のミスプリント」というしかない。

こういう時にIMSLPは助かる。正しい音符は……。

プラットフォーム屋根の支柱

2019-04-13 17:21:32 | 旅行記
プラットフォームも見るが、その屋根の形、支柱を必ず見る。

一時期の屋根は本当に面白くも何ともないのだが、ここ10年くらいは、さすがに考え始めたのか、デザインとしてはまあまあ悪くない。

しかし、大昔のものは、たまらなく感じてしまう。


こういうのがたまらない。鹿児島本線鳥栖駅である。

ドイツの古いレールを再利用しているのだ。
様々なファンタジーが、頭の中を駆け巡る。

レールを作る技術が日本にはなかったのだな。

長旅をさせて苦労して輸入したんだな。

これがH字形だったら最古だけどT字形だから、それより新しい。

でもレールで使えなくなっても駅の建築資材には使えそうだ、と誰かが思った。

それで支柱に利用され、戦争にも耐えぬいた。

という次第で、ちょっと古い駅ではよく見かけたけど、さすがに最近取り壊されて「まあまあのデザイン」にとって代わられている。

この「まあまあの」が22世紀になった時、私のようなのをもってして、「21世紀のデザインは感動的だ」と言われるだろうか……。