「山の音楽家」という歌がある。元はドイツ民謡だけれど、日本では子供の歌として有名。
あの「キュキュキュ キュ キュ」ってのが許せない。
とのたまわった知り合いのヴァイオリニストがいた。私としては「ギコギコ」よりましだから、何も思わなかったが、そう言えば、ヴァイオリンの音は日本語で何と表現するのだろう。
と言って、クラリネットやチェロを何と形容するのかも知らないけれど、そう言えばヴァイオリンの適切な擬音語を知らない。
そう言えば、「ビゴリン ビゴリン」てのがあったよ。
と私。数十年ぶりに思い出した「パパのバイオリン」という歌。
NHKの「みんなのうた」で私が幼稚園児の時に放送した歌で、バイオリンを始めて間もないから結構良く覚えている。その後に楽譜も手に入れ、今でも持っているし。
インターネットで調べたら、NHKも映像を持っていなくて、どなたかお持ちの方いらっしゃいませんかと探している状態だった。おそまつ・・・。
原題は「Jan Hinnerk up de Lammerstraat」という。この題で調べるとドイツのハンブルクの歌で、フランス軍占領下の抵抗歌とあった。相当昔の歌だ。
Jan Hinnerkは「神」を意味する暗号で、全能のヤンはまずヴァイオリンを作った。Vigolin,vigolin...と。
こんな歌を探し出してきたNHKのスタッフにも敬服するし、作詞した阪田寛夫さんも教養が光る。
でっかいパパの ちっちゃいバイオリン すてきなバイオリン
ひびきだせば ひびきだせば ホラしびれちゃう ホラこのとおり
あのオイストラッフもクライスラーもかなわない
私はこの歌のおかげで、クライスラーはヴァイオリンを弾くことを知ったのだ。大事な歌である。
ビゴリン ビゴリン ビゴビゴリン
さあ月夜の晩だ うちじゅうみんなでおどりだせ ビゴビゴビゴリン
このリフレインのふしはモーツァルトのフィガロの結婚のアリア「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」と同じふしである。(これには今日まで気づかなかった。)
百年以上も前の歌で、一応現在まで生き残っているけれどビゴリンは浸透しなかった。
でもギコギコやキュキュキュよりも良い響きだと思う。無理して使い続けたら普及するかなぁ。