井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

ガラミアンの秘密

2014-12-29 22:23:07 | ヴァイオリン

魔王の宮殿を見に行くずっと前に、魔王という噂もあるけれど、本当は全く魔王ではない、ハマオウ先生とお話する機会を得た。

お話が好きな先生で、いらっしゃるだけで部屋がとても賑わってくる感じ。魔王の雰囲気は全くない。

後から考えると、ここで「先生が魔王だと思っていらっしゃる方の話はご存知ですか」ときいてみれば良かった、と言いたいところだが、当人を目の前にして、そんなことはちっとも頭をかすめなかった。

私が伺いたかったのは、やはり黄金期(語弊あるかな?)のジュリアードの話。

ガラミアン先生は、どの生徒にも同じメソードを適用し、同じように教えていた。にも関わらず、どうしてあの三羽烏(パールマン、ズッカーマン、チョン)のように、個性的な人材を輩出できたのか?

すると

昔、どうしているのかな、とコウイチロウに聞いたことがあるんだ。あれ、ガラミアン一人で教えているのかい?って聞いたらさ、「そーんなこと、ある訳ないじゃない」って言ってたよ。

ま、みんな陰で別の先生に習ってたみたい。ギンゴールドが多かったかな。

ふーん、ジュリアードでもそういうことがあるんだ・・・。そう言えば日本にもギンゴールド支持派がいらっしゃって、それはそれで素晴らしい教育成果を上げていらっしゃる。そうか、ギンゴールドもやはり凄いんだ・・・。

また、アシスタントについたディレイがさ、あの人、教育心理学みたいなのを勉強しているでしょ。だからリードの仕方がうまいんだ。

とっても褒めた後にさ、でも一つだけ、only one thingって言って、本当の注意点を言うんだよ。教えられた方はさ、そうか一つだけか、と思って一所懸命そこをさらうじゃない。

あ、これは使える!

ディレイ方式、Very good! But you have a little bit problem, just only one thing.

今からは、これで行こう。ハマオウ先生、ありがとうございます。


魔王の宮殿

2014-12-28 23:42:24 | まち歩き

グリーグのペール・ギュント組曲の中の1曲に「山の魔王の宮殿」というのがあるのだが、それとは関係ない。

ヴァイオリン界のごく一部(cf. ビバ!おけいこヴァイオリン)に伝わる「魔王の宮殿」があったのだ。先日、ちょっと時間があったので、そこを30数年ぶりに訪ねることを思い立った。

わざわざ行かないと全く行く機会がない「成城学園」駅に向かった。

最近「副都心線」などという変な路線ができたお陰で、横浜からほとんどの場所に乗り換えなしで行けるようになった。その恩恵を受けていない訳ではないが、あまり受けていない感じがするのが小田急と京王。小田急も私にとっては、結局わざわざ乗らないと乗れない私鉄であった。

20数年ぶりに乗る小田急、最近はどこの私鉄も地下鉄になって、味気ないことおびただしい。そして、何と複々線になっていた! (そういえば、そんなニュースも聞いたような気がする)

 余談だが、私は鉄道建設のニュースを聞いても、それが実現するとはどうしても思わない思考回路になってしまっている。それは鉄ちゃんだった小学生の頃、全国を新幹線が走り回る計画とか、昭和60年には地下鉄はこうなるという計画が発表され、ワクワクしていたら、オイル・ショック! それ以降は絵に描いた餅状態。

地下鉄の方は15年遅れくらいで実現したけれど、新幹線なんてご承知の通り。1972年、田中角栄内閣時代の発表が本当ならば、1985年には北海道新幹線やリニア・モーターカーは実現していることになっている。

リニア・モーターカーはいつできるんでしたっけ。確か気の遠くなるような先の話だったよね。

それだけに、本当に工事をしてしまった小田急や東急には逆にかなりびっくりしてしまう。

成城学園駅も地下にもぐっていた。地上はショッピング・モールである。いやはや、もう全く昔とは別の街。東京はこれが当たり前、というのになかなかついていけない私であった。

さて、目指すは魔王の宮殿だ。

しかし、30年も経つと全く道を覚えていなかった。30分くらいウロウロしたのだが、わからなかった。既に取り壊されたかもしれない。

駅に近い場所にはいくつかコイン式の駐車場があった。土地の値段が高くて買い手がいないと駐車場。

昔はこんなことは無かった。俳優さんも多く住む、高級住宅街だった。(それは今でもそうだけど)

魔王の宮殿でレッスンが終わるとホッと一息、道すがらの喫茶店に入った。俳優の有島一郎の経営している店だった。夏だったので、アイス・コーヒーを頼んだ。コーヒーのグラスが斜めに立っている、独創的なグラスであった。

そして、そのとなりに透明な液体を入れた小さなグラスも供された。何だこれは?

しばらく眺めて考える。もしかして・・・うん、やっぱりそうだ・・・そうに違いない。

勇気を出してコーヒーに入れてみたら、コーヒーが甘くなったような気がした。

これをガム・シロップと呼ぶ、と知ったのは、さらに何年か経過して後のことだ。当時の田舎の高校生はみんな絶対「ガム・シロップ」なんて知らなかったはずだと断言したい。

喫茶店でまたもや緊張する街、それが私にとっての成城学園だった。


ドレスで歩く

2014-12-02 21:56:19 | 日記・エッセイ・コラム

先日、多くの中高生がヴァイオリンを演奏するのを聴く機会があった。

女子中高生が大人と同じようなドレスを着て演奏するようになったのは、いつ頃からだろうか?

少なくとも、筆者の世代にはいなかったような気がするが、関心もなかったので、気がするだけで実際には着ていたと言われるかもしれない。

そういった話ならば、それはどちらでも良い。

それほど関心も無かった私が口出すことではないと思うのだが、気になることがある。楽器を持って歩いているのに、ドレスをつまんで歩く姿、これが美しくないと思う。

もっとも演奏に入ってしまえば、そのようなことは忘れてしまう、のが大半だ、と思いたい。(中には繋がって「美しくない演奏」の場合もある。)

演奏の中身の方が大事なのは言うまでもない。でも、美しいドレスに関心がある人は、美しい歩き方にも関心を、と思っているのは、筆者だけではないと思うのだが。