今月BSPで3週連続の全三話で放送されました。原作は村山由佳さんの同名小説で、第55回吉川英治文学賞受賞作だそうですが私は読んでません。今回は吉高由里子主演という番宣を見て関心を持ったのですが、内容はまったく知らずに見ました。
原作は大正時代の婦人解放活動家であり文筆家でもあった伊藤野枝の生涯を描いた評伝小説なのですが、ドラマは吉高由里子主演なのでちょっと華やかな感じはあります。が、実際の内容はかなり重いもの。
私はこの人のことは知らなかったのですが、同じく婦人解放活動家というとこのドラマにも出てくる平塚らいてうくらいは知ってました。あの人は結構長生きしたんですね。大杉栄も名前は知ってました。
それでドラマの方ですが、まあ面白くないわけではないですがこれを3回でやるのはちょっと無理があったような気がします。登場人物も多いし、時代背景などをもっと掘り起こしながらでないとそれぞれのエピソードに深みが出ず、理解しづらいと思ったのは私だけでしょうか。解説のナレーションとかもっとあってもよかったかも。
伊藤野枝は婦人解放活動家ということですが、当時の女性が一般的にどういう扱いであって、そこに異を唱える女性が最初にどのように立ち上がったかというのは、私もほとんど知りません。このドラマでは、最初に吉高由里子が嫁ぎ先で今でいうセクハラをされる場面があったのですが、あの人のキャラであれをやるとちょっと軽いエピソードになってしまったのではないかと思ったり。
そして、平塚らいてうにしてもこの人にしても、今回のようにさらっと取り上げると、性格がわがままでなおかつ自由恋愛と称して複数の男性と同時に付き合うのが「新しい女」といきがってるだけのように見えてしまうので、そこに至るまでや文筆活動で社会問題にも関わったあたりをもっと深堀りして欲しかった気はします。
とはいえ、そこは私の見方が浅いといわれればそれまで。当時の時代背景とかを考えず、今の尺度で見てしまうとこの辺はまったく理解できないのでしょう。当時の女性が置かれた立場とは対極のように大胆にふるまわないと、その「新しい女」の存在を訴えられなかったのでしょうし。
最後は甘粕事件が出てくるわけで悲惨な結末になるわけですが、「はて、これはどこかで聞いたような…。」と思って、保存版にしている「関口宏のもう一度近現代史」を見直してみました。この辺は、関東大震災直後の亀戸事件と一緒に取り上げられていて、保阪正康先生の解説であらためて理解しました。そういえば放送当時に見た時もムカムカきたのを思い出したのですが、あれがそうだったと。
それにしても、この伊藤野枝たちの婦人解放活動が今の世の中に影響を及ぼしているかというのは、ちゃんと考えねばならんでしょうね。女性の政治家の比率とか会社の役員の数とかを考えると、いわゆるわきまえすぎているという事になるのかもしれません。
とにかく、近現代史に興味を持つにはいいドラマかもしれませんので、関心のある人も無い人も再放送の際にはご覧いただければと。原作も読んでみようかなあ。