「旅にでるとき、私はいつも、
《考えてみれば贅沢で無謀な旅だった。帰る日も決めず(
このエッセー集は、
江國香織
絵:荒井良二
『モンテロッソのピンクの壁』
ちょうどお昼休みに『ドビュッシー』を読み終わり、
バッグの中に読む本がないことに気づきそこで焦る。
いつでも本が読める体制じゃないと!
(冷蔵庫の中に常時ビールが冷えていることと同様)
ってことで、本屋さんに立ち寄りGET
モンテロッソ・・
浮かぶのはヨーロッパ又はエキゾチックな街
検索してみたらイタリアに近しい街があった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/モンテロッソ・アル・マーレ
モンテロッソに行かなくちゃ!急げ!急げ!
それは夢に出てきた綺麗なピンク色の壁がある街
猫のハスカップの旅が始まる。
なぜか金原ひとみのエッセイ付
この方こんなエッセイ書くんだ・・ニ度読みした。
小説はどこかツーンと取り澄ましたプライドの塊みたいなイメージで。
衝撃的な事実が判明し、顔面蒼白になった顔
血の気が引いて目の焦点が合わず、その深刻なる状況が伝わる。
偶然 虫の知らせ 予感 そして「暗示」
身近な死
そこでよくここまで生きてこれたなと色々な思いが錯綜
冗談じゃなく事故で死んでいた運命
両親に感謝
ただ生きている、生かされている?不思議な感覚に。
海外旅行が遠い夢になってしまった。
自分の国を見直す時なのかもしれない。
江國香織
『がらくた』★★★★★
心が平穏な時に恋しくなる。
文庫本にて再読
『アンナ・カレーニナ』も終盤でちょっと寄り道
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人は人を所有できるが、独占はできない。私が情事から学んだことの一つだ。そして、それでもどうしても独占したいと望むなら、望まないものも含めたすべてを――たとえばガールフレンドたちごと夫を――所有する以外にない。
すべての男の人はちがうかたちをしており、ちがう匂いがする。ちがう声を持ち、ちがう感じ方をする。それらを比較することはできない。
できるのは、一つずつ味わうことだけだ。
旅にでるといつもそうであるように、私は自分の生活からすっかり切り離されてしまったような気がする。東京に帰っても、もう居場所がないのだと感じる。
CONDRIEUという名のフランス産の白ワインをのみ終わるまで、私たちはそこにいた。二人がいなくなってしまうと、波の音が高く大きく聞こえた。海は黒々としており、私たちはとりたてて話すことがなかった。椅子を海の方に向け、足をのばし気味に座って、黙ってワインを啜った。月も星も遠く、ただつめたく光を放っている。
あとは闇、そして波。すぐうしろにはホテルがあり、人がいて灯りがある。でもこうして前を向いている限り、見えるのは海と空だけだ。
この男性に、東京で会うつもりはなかった。
はいこれ、と言って、ラムネの壜を手渡された。
「ありがとう」
呟いて、一口のむ。
「エキゾチックな味」
ラムネは、私に中華街を思いださせる。
「おかえり」
と言ってくれた。
「でも寝なかったんだね」
私はうなずいたのだったと思う。いまではもうはっきり思いだせない。これらはみな、何年も前に起きたことだ。
「それじゃあどこにも行ってないようなもんだな」
夫は言った。
「今度はもっと遠くに行っておいで、遠くに行けば行くほど、ほんとうのことがわかるはずなんだから」
もうわかったいる、と、反論することは無意味だっただろう。もうわかっている、私はあなたのものよ。そんなことはどちらも確信しているのだ。だからこそ新しくわかり続ける必要があるのだ。それが私の望んだことだ。度を失い続けること、渇望し続けること、独特の者同士として溶け合うこと。
手をのばし、煙草を一本ぬきだしてくわえた。ちり、と、紙の燃える音をさせて煙を吐く。
「幸福な話じゃなくても、幸福な思い出だわ。あなたとしたことは全部、私にとっては幸福な思い出になっちゃうのよ。おもしろいわね」
雨が続いている。私は秋という季節が好きだ。物がみな、あるべき姿に戻る季節という気がする。
摂取したものは血肉となる。事実は誰にも消せない。
「この人は、ちょっと目を離すと遠くに行ってしまうんだ」
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コメコのパンケーキ
17歳上と14歳上とのSMS
一般で言う浮気をする気がないとの会話
その理由として「性欲」をあげる彼女は36歳
元々持った欲は別として(それに良し悪しはつけられない)
もったいないなぁとわたしは思う。
接近してそろそろ三ヶ月
江國香織
『思いわずらうことなく愉しく生きよ』★★★
前回の『薔薇の木・・』に似ているような気がする。
今回は三姉妹が主人公
麻子、治子、育子
自然と気持ちが誰かに偏るかと思えば、そんなこともなく。
小出しに少しずつ読んでゆく内に勇気をもらえた。
世間体からズレていても、別によいじゃないってね。
楽しく揺れる心はどこにも定まらない。
先週末の手つなぎの意味を少しだけ考えてみる。
ホント恋愛には事欠かないなぁ
独りに重しを乗せるより、今が絶妙な感じに思えてならない。
ただ「もぅ逢わない方がよいかも・・」と思ったのは確か。
多分このあたりまでが楽しい?
既に遅いかな。
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「ママに会ってるか?」
そう訊いた父親の額のしわを、育子はなつかしくみつめる。考えてみれば、このひとは若いころから額にしわがあったな。ゴルフやテニスが好きなために年中日にやけている。と思っていた皮膚は、いまも赤錆色だがそれはおそらく酒やけだろう。
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抜粋したこの文章を送ってみようと思った。
シャンプーでふわもこ
デカッ 超癒し!
江國香織
『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』★★★★
2019年末読書本
再読だけど曖昧でやはりおもしろい。
9人の女性達+男性陣の恋や愛
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「不思議ね」
「みんな、いちばん愛したひととはちがう相手と一緒にいるみたい」
「え?」
「でも、すぎてしまえばずっと一緒にいた相手をいちばん愛していたと思ってしまうのね、きっと」
「私ね、浮気をしたの」
「変わった男でね。私は夢中になった。あのひとと一緒に生きる人生を夢想したわ。そのためなら何でもしたんじゃないかしら」
「誰かを好きになったからといって、夫をきらいになれるわけじゃないもの」
「でも、もう二度と、夫に男性的な魅力は感じられないと思うわ」
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あんなに宮部みゆきにハマっていたのに、
潮が引くようにその熱がすーっと引いていってしまった。
不思議・・
次に読む予定だった『とり残されて』挫折
読書熱まで奪われたように、お正月読書は予定の吉田修一のみ。
次何読もう?どうしよう?
めずらしく未読本の前で悩むわたし。
読書量が多い分、読み飛ばし感が半端ないのを実感したせいかもしれない。
先日の『スナーク狩り』を普段読書しない知人に貸したら、
その反応が会話の中に自然と出てきたのにはビツクリ!
そういう実りある読書をしたいな。
言わんとしていることですよ。
江國香織
『泣かない子供』★★★
再読かな。何箇所か記憶に残っている部分があった。
やはり戻る場所があるって安心出来る。ホッとする。
旅に出るって言えるのは、戻る場所があるからよって。
住所不定無職・・
今朝のNHKのニュースでSNS上で金銭の貸し借りを行い、
詐欺で逮捕された未成年者が「住所不定無職」となっていた。
戻る場所がない。
帰る場所がある。
抱きしめてくれる人がいる。
手を伸ばせばその手を握り返してくれる人がいる。
自然に笑顔を返してくれる人がいる。
どれだけ救われることか。
逆もそう、抱きしめ、握り返し、笑顔で相手を見つめる。
その関係性を構築するまでの道のり。
人は独りじゃ生きてゆけない。
当たり前のことと思わず、たまには感謝しないとね。
手を離さない限りあなたはそこにいる。
離したとしてもいる(笑)
西荻フィーバー ですよ!
江國香織
『落下する夕方』★★★★
未読本発見☆
金曜の夜から体調不良が続き、
我が身体なのに何も分かっていないなと嘆く・・
一つ一つ順番にどこかが壊れてゆく。
今はまだ気力でカバー出来るけど、この先のことを思うと暗澹たる気持ちに。
頼れる支えが必要だと実感
そんな暗い気持ちになった真夜中
早寝したせいで目が冴えてしまってこの本を手に取った。
で・・ラストのまさかの衝撃で気づくと明け方の4時!
(もちろんその日はお仕事です)
いやー徹夜読書なんて久々
身体のつらいことも忘れ、世界に没頭してしまった(笑)
この話「ヤバイ」ね(20代女子と仲良くしていると口から自然に出てしまう)
感化されやすいのか、今年出逢った年上のおじさまを思い出し、
机の中から名刺を引っ張り出して、電話番号に名前を登録した。
そうよ。いつの間にか仲良くなってるパターン?
来るもの拒まず去るもの追わず。
華子 強烈だけど愛おしい。
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「なんでもいいけど、必要なものははなしちゃだめよ」
空にはピンクグレープフルーツそっくりの、もやもやと赤くまるい大きな月が浮かんでいる。
「これからうちに遊びに来ない?」
きっぱりと、私はそう言っていた。
夏の夜は虫の匂いがする。草と虫と空気の混ざり合ったような匂い、ひどく子供っぽい匂いだ。
私ははな歌をうたう。
私はといえば変わったことはなにもなく、平和な日々でお茶漬けばかり食べている。秋は、一年じゅうでいちばんお茶漬けのおいしい季節だと思う。
このとき私は確信した。一人の男と人生を共有しているときの、ありふれた日常の信じられないような幸福、奇跡のような瞬間の堆積
眠りながら暮らすのなんて、わけのないことだ。毎日お昼近くに起きて食事をし、窓の外でも眺めてぼんやりしているうちに、また眠くなって少しうとうとし、途中でたぶん一、二度目をさます。トイレに立ち、お腹がすいていれば口になにか入れ、場合によっては雑誌をぱらぱらめくったりするかもしれないが、結局またソファにねそべって、浅く淀んだ眠りを眠る。目をさますとすっかり暗くなっている。起きあがってカーテンをしめ、電気をつけテレビをつけ、とりあえず冷蔵庫からセブンアップでもだしてのむ。あとは、食事をしてお風呂に入ればそれでもう一日がおわる。
三人ともほとんど話をしなかった。そうしてそれは、不思議と心地のいいしずかさだった。大きなガラス窓に雨粒が流れ、無数の点線になったその雨粒ごしに、大通りと車と青い歩道橋、傘をさして歩いている人がみえる。
「惣一は私を愛してるの」
華子が言った。写真の学校にいってるの、と言うのとおなじ口調だ。
私たちは駅までぶらぶら歩いた。何かのかけらと呼びたいような、紡錘形の月が輪郭をぼやかせ、湿った夜空に白く光っていた。
私はしばらくおしいれの前に立っていたが、のろのろ歩いてワンピースのハンガーを鴨居にかけ、それから窓をあけた。すりガラスのはまった格子窓だ。ねじ式の鍵がついている。あけると、きゅるきゅると木枠のきしむ音がした。
夜は濃く、深く、しずかだった。黒々とした木立ち。葉のざわめく気配がしたが、錯覚だったのかもしれない。そよとも風がないのだから。のりだして見下ろすと、街灯にブロック塀がみえた。
「恋愛っていうんじゃないことは、自分でももうわかってるんだ。
とぷちゃぷととぷちゃぷととぷちゃぷと。私たちのまわりで、雨が際限なく単調でやわらかな音をたてていた。
「恋愛じゃなかったらなんなの?」
いちめんに水をたたえたアスファルトの道は、街灯のあかりで黒々と光っている。
「執着」
「私ね、空は好きよ。海よりずっといい」
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