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2013-07-07 | 村上春樹(翻訳物)

 



村上春樹
『ザ・スコットフィッツジェラルド・ブック』★★★★


感慨深い。



このようにして我々は絶え間なく過去へと引き戻されながらも、
寄せくる波に向かって、その舟を力のかぎりに漕ぎ進むのである。

― SO WE BEAT ON BOATS AGAINST THE CURRENT, BORNE BACK CEASELESSLY INTO THE PAST ―



世間は我々の想像力を越えた行為や出来事で充ち充ちているのだ。



一生のうちで真の愛に巡り会うなんて極めて稀なことなのだというのが彼にも分かってきたのだ。



「あなたは身を固めることのできない人なのよ」
そのひと言がアンソンの背中にぐさりと突き刺さった。よりによってそんな咎めを受けるなんて、彼にはとても信じられなかった。



僕は思うのだけど、誰かに愛されていないことには彼は幸せにはなれないのだ。


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S

2013-07-07 | 村上春樹(翻訳物)

 



スコット・フィッツジェラルド
訳 村上春樹
『マイ・ロスト・シティー』★★★★


「今のあなたを変えてしまいたくはないのよ。今のままのあなたが素敵なの。あなたを駄目にしていくかもしれないあなたの中の何かが私は好きなの。古い思い出の中に生きつづけるあなた、けだるい日々の中のあなた、それに無頓着さや鷹揚なところがね」



「ええ、どうしてもあなたと結婚することはできないんだもの。私の心の中にはあなたのためだけの場所があるし、他の誰もあなたのかわりをつとめることいなんてできない。でもね、この街に縛りつけられることに私は我慢できないの。私はきっと自分が無駄にすり減っていくような気がしちゃうと思うの。私の中には二人の私が棲んでいるの。一人はあなたの好きなものぐさでけだるい私。だけどそれとは別に私の中には一種のエネルギーのようなものがあって、それが私を冒険へと駆りたてるの。そしてそちらのほうの私が役立てるような場所がこの世界のどこかにあるかもしれない。そういう気がするの。もし私が年を取って綺麗じゃなくなったとしても、エネルギッシュな方の私はずっとそのままじゃないだろうかってね」



「よくわかっています。私はあるポイントを越えてしまうと、あとは誰かに何もかも任せてしまいたいというタイプの人間なんです。そしてこれから先、きっとそういう風に生きていくだろうなって気がするんです」


『氷の宮殿』より。
スゴク分かるこの気持ち。

『グレート・ギャツビー』他
春樹が押すのがこの短編から理解出来た。


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