瀬戸内寂聴 さだまさし
『その後とその前』★★★
過去の放置本。。
寂聴さんのエッセイは結構読んだ記憶
あと『源氏物語』どこにいったのかな?
全部通しで読んでみるのもよいかも。
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002 その前 捨てる勇気。
第二章 想像できない苦しみがあることを知る。
007 その後 放射能という目に見えない恐怖。
009 その後 震災が露わにした人の持つ本来の優しさ。
第三章 感謝して生きる。
013 その後 お金の問題。
020 その前 老人の力。
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寂聴 やっぱりね、血のつながりなんて嘘よ。やっぱりね、産みの親より育ての親。育ての親は子供と苦楽をともにしてるもの。で、病気になったら、育ての親でも必ず看病してもらってるじゃないですか。で、泣きたいときは、まず涙を見つけてくれるのは育ての親じゃないですか。それはね、育てないと親じゃない。
さだ うーん、厳しいですね。
寂聴 私は自分でそう思ってますよ。
さだ それは厳しすぎるんじゃありませんか?
寂聴 いやいや、その通りよ。
さだ 命懸けで産んだという厳然たる事実はあるわけじゃないですか。
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021 その後 想像力を働かせること。
第五章 生きるために忘れる。
027 その後 目に見えないものを大切にする。
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寂聴 そうですね。やっぱり家族が大事です。私は家族を捨てましたから、だから余計言えるんだけど。だけど、自由よ、一人になると(笑)。
さだ それはご自身お力がおありになるからおっしゃれる言葉でね。
寂聴 人に勧めるんだけどね(笑)。でも、やっぱり自分が育ったことを思うと、やっぱり家族のおかげですよね、今日があるのも。自分はなぜここにいるかってことを考えたら、やっぱりお父さんお母さんのおかげでしょう?先祖のおかげでしょう?そういうことをもう今教えないものね。学校でもそんなこと教えてないじゃないですか。だから、お墓がどうのこうの言ってるけど、それはお墓なんて死んだ人はどうでもいいんですよ。そんなこと思ってないの。残されたわれわれが、やっぱりここにお墓があって、先祖を敬わなきゃいけない、お礼を言わなきゃならないってそのために、残された者のために、あれはあるんですよ。死んだ人のためじゃないんですよ。
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さだ ~例えば原発ひとつをとっても、何がどう危険でどう危ないのかは誰も勉強してないから、「え、でも、もしかしてあの地震が起きなければ大丈夫だったんじゃないの?」という人が半分はいるわけでしょう?じゃあ、今ある原発で同じことが起きる可能性があるんですよって説明したときに、「あ、そうか、じゃ、同じ可能性があるんだったら、もう今からそっとなくしといたほうがいいな」って考え方の人が今度は出てくるでしょう?それでも、「今、電気がないと困るんだ」という人たちがいて、自分で手を挙げるとしたら、どこで手をあげていいか人の顔色見るんですよ、日本人って。「今、え?・・・・・・ここ挙げるとこじゃないんだ」みたいな、その何ていうのかな、自分に自信がない。自分の意見に自信がない程度しか学んでないから、わからないんでしょうね。
寂聴 本当そうです。全体の雰囲気に流されちゃうとこはありますよね、我々日本人は。
さだ というか、わからないんだよ。どう怒っていいかわからないんだよ。
さだ ただ、わからないから。どう叩いていいか、どう怒っていいかわからないぐらいわれわれは勉強してないんですよ、全体。関心がないんですよ。無関心なんです。ということは愛がないんですよ。もう無関心なんですよ。政治に対しても無関心なんですよ。だから、この政治家が何をどう言おうとしてるか、興味がないんですよ。だから、見事に騙されるんです、
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寂聴 でも人間ってしょうがないんですよ。そのとき痛くても、今どれくらいだったか思い出せないんですよ。
さだ 痛みの記憶・・・・・・。
さだ ~痛みの記憶ってあんまり覚えてないね。忘れられるって才能なんですね。
寂聴 そうです、才能なの。忘却って才能。
さだ 覚えていたら生きていけないですもんね。
寂聴 人間に忘却の才能を与えてくれたのは神仏の恩恵でもあると同時に忘罰ね。忘れてならない大切なことも忘れるのは忘罰ですよ。