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I

2020-06-22 | 石田衣良

 

石田衣良
『少年計数機 池袋ウエストゲートパークⅡ』★★★

 

I.W.G.P.!!!
やはりドラマを思い出しつつ読んでしまう。
長瀬や窪塚洋介の影がついて回る。
あと母の森下愛子さんかなぁ(笑)

こちら書下ろしを一編含んだ短編仕立て(書き下ろし『水の中の目』★★★が印象的)

 

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退屈と時間はたっぷりあった。ひま潰しにいつも誰かとつるんでいるやつもいるけど、おれは退屈すると人に会いたくなるなんてことはない。

(もっともテレビを見るのって、ゆっくり自殺することなのかもしれない)

 

 

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水のなかで目をいっぱいに開き、世界を見あげたことがあるだろうか。
ゆらゆら揺れる透明なスクリーン越しに、奇妙にまぶしい空や歪んだ景色が広がっている。別に小笠原やモルディブの旅行パンフみたいな青版百パーセントの海の話をしているわけじゃない。そのへんの遊園地や学校にあるありふれた二十五メートルプールの話。
まだら模様のコンクリートの底に張りつき、息をつめて水の天井を見あげる。水面にきらきらと反射する八月の日ざし。ちいさな波頭で弾けては結ばれる光り。
友達の誰かの手足が扇のように撒き散らす無数の空気の粒。夏休みの熱気もひんやりとカルキ臭い水中までは届かない。もしかしたらあの世から見ると、おれたちの生きてる世界はこんなふうに見えてるんじゃないだろうかと、おれはよく考えたものだ。ものすごくきれいで、光りあふれていて、すべてがちょっとずつ歪んだ魅惑の世界。

 

 

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子どものころばかりじゃない。おれは今年の夏だって、水のなかから世界を見あげた。池袋の星のない夜空が見えた。そのときは、ちょっとばかり自分の死を考えた。
それから水のなかの目を見た。海藻のように揺れる目に映る絶望。おれはあの目を死ぬまで忘れないだろう。やちは鏡のむこう側から決してあがってはこない。

 

 

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なんといっても、その日はすごくバラけた夏の夕暮れだったのだから。

 

 

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懲りずに紫陽花
どこ見ても紫陽花

 

 

 

今日の社内は在宅率高し!
お偉方がだ~れもいない無法地帯(笑)


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