宮部みゆき
『あやかし草紙』★★★★
にゃおん夏休み読書最終~
こちらも大容量のP641
(同時読書していた彼女はハードカバーは重過ぎて持ち運び不可とのこと)
さて気合入れて読みましょうか。
--------(抜粋)
宮部みゆきのライフワーク!聞き手おちかの卒業でむかえる、第一期完結編!
三島屋の主人伊兵衛は、傷ついた姪の心を癒やすため、語り捨ての変わり百物語を始めた。悲しみを乗り越えたおちかが迎える新たな語り手は、なじみの貸本屋「瓢箪古堂」の若旦那勘一。彼が語ったのは、読む者の寿命を教える不思議な冊子と、それに翻弄された浪人の物語だった。勘一の話を引き金に、おちかは自身の運命を変える重大な決断を下すが……。怖いけれども癖になる。
三島屋シリーズ第五弾にして、第一期の完結編!
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第一話 開かずの間(私的に一票★★★★★)
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「わざわざ苦労を買ってまで、ご自分の器量を知りたいんですか」
「うん、知りたいねえ」
うなずいて、富次郎は笑った。
「こんなことを言うのは、やっぱりわたしがまだ本当の商いの苦労ってもんを味わってないからだろうけどさ」
「ええ、怖いもの知らずな言い様ですわね」
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こんこんちき・・(笑)
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本結城縞の艶のある小袖
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武家と同じく、商家でも跡取り以外は「部屋住み」である。息子なら養子先を探す、商いに励んで分家してもらえるだけの力をつける。娘なら良縁をつかむ。自分の身を立ててゆくには限られた道しかない。
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こちらMyヒット!!
百物語に相応しい一作です。
第二章 だんまり姫
〈もんも声〉
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「もんも声の主は、その力が世のため人のためになるから生まれてくる。お役を果たすための命じゃから、病を寄せ付けんし怪我もせん。おせいは、いつか朝日村を大きな災いから救うてくれるかもしらんし、大黒のお殿様にお役に立つかもしらん」
それに、もんも声の女の子は必ず器量よしになる、と言ったそうである。
仮初めの平穏
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〈わらわのこえはなくなった〉
「声がなくなってしまった、か」
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妖怪〈おまる積み〉、参上。
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おちかは思う。黒白の間で語られる話を聞き捨てにするというのは、本当に物を捨てるように扱うということではない。
むしろ尊重するからこそ、聞いた話をいじらない。聞き手の側で意味を足さない。
聞いたままに受け止めて、そっと見送る。
「やっぱり、おちかは腹が据わっているなあ」
年季の差だねと、富次郎は笑った。
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標題作
第四章 あやかし草紙
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饅頭の温かさ、あんこの甘さ、思いがけず皆で一緒に台所の板の間に寄り集まってお菓子を食べる楽しさ。竈の煙抜きからふわりと舞い込んでくる粉雪の粒。
ああ、幸せだとおちかは思う。
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「そういえば、小豆には魔を祓う力がありますから、お汁粉は変わり百物語にふさわしゅうございますね」
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読み物は人の心の滋養になり、人を癒やし励ます効用を持っていると信じている。かつて己が書物に慰められた経験があるから、その思いが揺らいだことはない。
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「たった三年。でも、その三年は長うございました」
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女敵討ち
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人は今を生きるしかなく、今ここのことしかわからない。学べるのは過去からの教訓ばかりだ。先のことを見通し得る千里眼なんて便利なものは、残念ながらこの世にはない。
この人はホントに動じない。
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偶偶引き寄せる「縁」がある。
「縁」と聞いて誰の顔が浮かびますか?
(わたしはまちがいなく相方ですな(笑))
第五章 金目の猫
ここまで二十六の話を聞き捨ててきた(ってことはまだまだ続く!)
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絵のどこに何を見るのか、見つけるのか、見いだすのかは、見る者の目と心にかかっているのだ。
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「人の世はままならぬものだね」
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生霊っているんだね。にゃおん
さてここで第一期完結となります。
巻末には宮部みゆきご本人の「文庫本あとがき」+「現在までの語られた話」が載ってます。