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2016-11-30 | 作家別諸々(た行)



辻仁成
『右岸㊤』★★


一気にトーンダウン



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私はその時、断崖の突端に立っておりました。自分が何をしようとしているのか、まったく理解することができておりませんでした。ただ、気づいたら私はそこにいて、身を投げようとしていたのです。目の前にはどんよりと曇った空があり、その下には遙か水平線までつづく荒々しい海原が広がっていたのです。数歩先に、地面はなく、打ち付ける波音がかすかに聞こえておりました。私はその時、そこにいた。ある時私はそこにいたのです。今から思うと果てしなく遠い時の場所ですが、その瞬間は確固たる場所でありました。私はそこにいるということを自覚し、自分がこれから行おうとしていることの意味を知ることになりました。なのに私はそこにいる自分というものに引き止められます。そこにいる自分にはそこという場所を通してつながる広大な世界がそこという一点を通じて私を引き止めたからなのであります。自分が今、そこにいるという考え方は人間の本質をつくものであります。そこにいることが、すなわち、存在ということを意味しているのです。そして人間の価値というのでしょうか、いいえ、必要性とでもいうのでしょうか、そうではありません、意味をそこに位置づけているのであります。そこを意識したことが、私をある意味で救うことになります。私はその時、次の一歩を踏み出すことができなくなってしまいました。私はそこにいる、と自覚してしまったがためにです。あの時点よりも遙かに遠い今という場所にいながらも、不思議なことですが、私はあの時のそこという場所を認知することができます。自分が立つ場所を瞬間意識できたことが、私という人間をこの世界にしっかりつなぎとめる結果となりました。私が言いたいことはつまり、あなたが今立っている場所、まさに世界ということもできるでしょう、その場所のことを強く念じてほしいということでもあります。その時、あなたはあなたの背後に広がる世界とつながっていることを改めて認識できるのであろうと思うのであります。私はその時、断崖の突端に立っておりました。でも、私は一歩踏み出すことをせず、新しい気持ちで踵を返し、自分が関わってきた世界へ帰還することとなりました。そこにいた、というだけの事実が、私の命を救い、私に次の可能性を提示したのです。私は、ただそこにいた、自分に気がついただけでした。しかし、今日をこうして迎えることができたのもある時、私がそこを強く意識したがためなのであります。足許という単語には重力の影響だけではなく、反動力の影響もあることを認識することとなったのでした。世界はあなたの足許にあります。



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大切にしようと思った。
「おめでとう」って歩くたびにたくさんの人に言われた(笑)

それぞれの生活があって疎遠になっているけど一年に一度だけ。
そういう不思議な縁もある。

「ありがとう」
毎年思っているけど、この歳がリミット///

今年はちゃんとTELがあった。うん。そこは大事です。








不思議なことにつめ切りがどこを探しても見つからない。
? ? ?
わたしが留守のあいだ だれかが 持ち去ったことを想像してしまう。

トルコ風ネイル


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