村上春樹
『雑文集』★★★
なが~くかかった放置本のひとつ。
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音楽でも文章でも、何かをクリエイトしつづけていくことの大変さは、基本的に変わりない。前向きな姿勢がとれなくなったら、生み出される作品から力や深みは消えてしまう。
僕らの人生とは、記憶の積み重ねによって成り立っている。そうですよね?もし記憶がなかったら、僕らには今現在の僕らしか、頼るべきものがない。記憶があればこそ、僕らは自己というものをなんとかひとつに束ね、アイデンティファイし、存在の背骨のようなもの――たとえそれがひとつの仮説に過ぎないにせよ――とりあえず設定することができる。
映画というのは不思議なもので筋やら俳優の名前やらは全部忘れてしまったのに、ただ一箇所のシーンだけがどうしても忘れられずに残っている、という場合がある。
人は何かに向かってたとえ血の滲むような努力をしても、必ずしもそのことで他人に認められるとは限らないのだ。それはたしかに人が肝に銘じておいていい事実であるだろう。
個人的教訓というのは得ようと思って得られるものではない。それは不可思議な道筋を通ってかなり唐突に頭上から落ちてくるものなのだ。そして道筋が不可思議なものであればあるほど、それに比例してその効用もまた大きいように思える。そういう教訓にどれほどの一般性、普遍性があるかまでは知らないけれど。
「そういう組み合わせも悪くない」
わたし、いま、めまいしたわ……
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「最愛の人は消えない」
そうあってほしい。切実に思う。 想う。
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