ランサムサーガ全12巻の最終巻「シロクマ号となぞの鳥」を読み終わりました。
「シロクマ号となぞの鳥」は「ヤマネコ号の冒険」、「女海賊の島」に続く帆船外海冒険物語です。
Dきょうだい(ドロシア、ディック)がヤマネコ号メンバーに加わります。
ディックがイギリスでは巣を作らないと定説のあった鳥ハシグロアビを発見します。
そのハシグロアビのつがいが北海の島の湖で巣を作って卵を温めていたのです。
ディックはその鳥の正体を知りたくて、鳥専門家を訪ねます。
しかし彼は卵採集家であり、イギリスで初めて巣を作った新発見の鳥を捕まえてはく製にしようと巣の場所をディックから聞き出そうとします。
ディックはシロクマ号の仲間とハシグロアビの写真を撮ってイギリスで巣を作った証明にしようとします。
しかし、卵採集家に島の位置を見つけられてしまいます。
しかも島の原住民にシロクマ号の仲間が捕まってしまいます。
さあ、ディックは、ハシグロアビは、シロクマ号一行はどうなるのでしょうというお話です。
Dきょうだいが加わってフルメンバーになったことで個々の子どもたちの描き方が薄まってしまいました。
それでもフルメンバーにしたのはランサムサーガの総集編という意味もあったのではないでしょうか。
卵採集家は猟銃を持っていて、子どもたちの命の危険もありました。
最後、巣から卵が取られてしまい、卵を入れた箱がヒースの原に隠されてしまいます。
それを見つけ出したのがティティです。
ティティには鳥の気持ち、卵の気持ちがわかるのです。
卵を巣に戻すためディックとティティは折りたたみボートに乗ります。
そこはディックとドロシアではないのです。
これはランサムサーガはティティとディックが作り出した物語だったということを表しています。
そしてここまで広がってしまったランサムサーガの地図はこれ以上作りようがなく、大人になってしまうナンシイやジョン、スーザン、ペギイはもう次の物語のメンバーにはなれないのです。