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最近は老眼のせいで めっきり本を読むことも少なくなっていたんだけど次男君が帰省の折
置いていった 湊かなえ著『告白』を読んでみました。第一刷が2008年だからちょうど
二年経っているわけで、今年松たか子主演で映画化されたものだ。私は発刊されたときに
新聞広告を見て読みたいと思ったのだけど、単行本化されるのを待とう・・・と思い、忘れ
ていた。次男君は今年映画化のCMをみて読もうと思ったらしく、夏前に帰省し愛知に帰る
ときに勝浦の本屋で買ったものだ。彼は帰りの電車内で読み終わったと言っていたから、
内容は展開が早いものだと想像はできたけど・・・。
読みだして、「これはあの『絶望ノート』に似ているような・・・」という錯覚に陥った。
あれも中学生が主人公の暗いいじめの内容だったけど、今回のは少し違う。女性教師の一人
娘が勤務する中学校内で死体で見つかり、警察発表で事故死とされるけど女性教師が不審に
思い小さな事柄から、一つずつ真相をつきとめていき、終業式のあとのホームルームで
じわじわと事故死が殺人であった事、その犯人がこの教室にいるという事を淡々と語りだす
という書き方で進んでいくわけだ。読みながら、この冷静さはなんだろう、親としてここま
で静かに教え子の前で話せるのか・・(ま、小説だからだけど)と思ったのだけど。そこに
は、≪少年法≫というもので裁くのではなく自分で犯人に制裁を加える・・・、それも
とことん精神的に追い詰めていって、罰を与えるのだな。自分は退職するけど犯人に恐怖を
残して去る。娘の父親であったエイズ患者の血を牛乳パックに秘かに混ぜて飲ませ、命の
カウントダウンを味あわせるのだ。中学生には飲むことで感染するしないは理解できないみ
たいで、二人の犯人のうち一人は精神的に追い詰められてしまうが、もう一人は寄り添って
くれた同級生に自分の生い立ちをなじられ、また殺人を犯してしまい・・・。
と、読みだすとぐんぐん次はどうなるのかと引きこまれてしまったのは≪絶望ノート≫とは
違うところだな。ただ、ところどころに背景を省略したような箇所があり、そこが私として
はもう少し書き表してほしいな。。。と。次男君は「最後がね・・・」と言葉を濁していた
のだけど、もう少し最後に【濃さ】のようなもの、厚みがあれば私は納得したなぁ。
で、最近文庫本化されてしまいましたね。女性教師、女生徒、犯人Bの姉、その母親の日
記、犯人B、犯人A、そして女性教師の告白という形で続いていくので「おお、そうなのか
そこまでひどいことを・・」と思い、読み終えた。しかし、私の中でもう一つなんか、納得
できない気がしたので、一ヶ月の間にもう一度読み返した。一度読んだ本をすぐ、読み返す
なんて今までそうなかったことに、私自身驚いているんだなぁ。作者は1973年生まれだ
から、これからが楽しみな作家さんかもしれません。
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