動物霊園は 海に面した少し道路から引っ込んだところにあって 小さくてひっそり
と建っています。電話に出てくれた女性の方が出てきてくれました。祭壇まで運ぶの
に手間取っていたら 運びますとこげを抱き上げて祭壇に寝かせてくれました。
その時祭壇には多くのわんやにゃんの遺影が祭られているのに気がつきました。この
霊園で火葬された猫の種類は解らないけど、犬はいろんな犬種の元気なころの写真で
小型犬が多く、あまり大型犬はないようです。寂しがらなくてもいいよ・・という
空気。持って行ったお弁当?を取り出すと、「ご飯を食べられなかったんやね」と
口元に並べてくれます。お焼香の台もあって般若心経を流してくれます。良かった、
それなら毎朝晩、仏壇で唱えているからこげにもきっと届くよね。おじいちゃんが
亡くなってから私が仏壇で唱え出した時も こげが後ろで終わるのを待っていたこと
もあったやん・・・。心経が終わって「最後にお別れをしてあげてください」と
言われこげの顔を撫でて、ありがとうね と言うだけです。ふさふさの耳も冷たくて
痩せて小さくなったようにもみえ、耳の中に指を入れてこちょこちょしてあげると
もっとして、と頭を寄せてきそうです。女性が焼却台に敷物ごと乗せてくれて
焼却台が中に入って、裏からボタンを押したのでぼぅという音が聞こえてきました。
もう、抱っこも、なめてもくれません。外に出て斎場の煙突から煙が出て、白いのか
なと思ったら、黒っぽく灯油くさいような、でも、いま、立ち上っていく煙と匂いは
こげなんだなぁと、熱くないか?さっきまで極寒状態で 今度は灼熱って なぁ、
こげ、でもあちらでお母さんの姫虎(きこ)や 兄弟の吉宗くんが待ってるし
おじいちゃんもお菓子を用意して待ってるから心配ないよ。こっちが心配なら
いつ来てくれてもいいからねと見送ったのでした。10時ごろになるか、早くなっても
連絡しますということで、一度家に帰ることに。来た道とは違う、潮岬周りで。
海を見ながら 潮岬の望楼の芝まで来て「芝焼にこげも来たよね」「あの時は知らな
い人から珍しがられてなぁ」と毎年一月に行われる 最南端の芝焼をこげを連れて
見に来たことを思い出します。大きい犬がいる、とかハスキー犬?とかいろいろ言わ
たりした。さっき斎場でもおとうさんは 私が写したこげのとっておきの写メを
自分のスマホに保存し、それを斎場の女性に見せてどういう犬だったか説明していた
本当にほかの犬に 吠えていくこともなく、おとなしい犬だったんですと。女性は
こげが19歳だったということで 中型犬で19歳は 本当に生き切ったんですよ、と
えらかったねと褒めてくれました。お世辞でも なんでも言ってもらえたらそうなん
や、そうなんや・・・と気持ちをどこかへ預けて置けるようなそんな持ちようになる
のです。家に戻って9時半ごろにまた家を出ようかと思っていたら、早めに連絡をくれ
たのでお迎えに行きました。焼却台で横たわったこげの骨は また一段と小さくなっ
て、あぁでもこげも楽になったよね、と思ったのです。きっと からだも痛かったし
床ずれも痛くて 今じゃ元気な若い時みたいに走っているんじゃないかな・・・
女性が「本当にこの子は最後まで食べることができたんやね。歯が全部残っているん
ですよ。」と言うので見ると 本当にきれいに歯が残るもんだと思うくらいにあって
のどぼとけを拾わせてくださいねと、いいながら どれがどうかは解らないでいる
私たちに のどぼとけを拾って 持参した段ボール箱にそっと入れてくれた。
焼却台の網の上にこげの骨があって「この子はうしろ足の具合が悪かったのかも」と
いうけど 後ろ足より前足が触られるのが嫌でぴくっと引くことがあった。前足の骨
かもしれない。小さな爪の形があるので「爪ですか?」と聞くとそうですという。
爪も残るんだ、そうだ、爪を貰っておこう、しっぽは?と聞くと しっぽはこれです
と、確かに、最後のほうはこげのフサフサのしっぽは皮膚炎で毛が抜けてしまって
三分の一くらいになって、しっぽの芯のような、あれが骨だったのか(笑)
おとうさんと二人、寒いしかじかむ指でお箸がうまく使えず 女性も手伝ってくれて
お骨を拾い、こげの頭をおとうさんと二人で形を崩さないよう段ボールへ入れました
私が骨は全部持って帰ってくる、と言ったもののお墓の用意は何一つしていません。
本来なら歴代のうちの飼い犬たちは 家からすこし離れた持ち山の片隅に土葬してい
ます。私も何度か 土葬についていきましたが 今はその場所も草木が茂り おまけ
に日陰で 寂しいので 寂しがりやのこげなら一日もそこでは眠れないと思うので
できるだけうちの近くに埋葬したいと思っているのです。家に戻っておばあちゃんに
「こげ、みる?」と聞くと「どれ、帰ってきたんか」と段ボール箱を覗き込み
「もう、いい」・・・おとうさんはお昼から出勤し、その間にこげを離れへ安置でき
るよう、片付け、自分の布団も運び数か月ぶりに私とこげは離れに戻ってきました。
火葬も済ませたので、近所のこげに会うのを毎日楽しみにしてくれていたTさんの
ところへ報告に行きました。玄関で「こんにちは、おめでとうございます。」と
小さい声で新年のあいさつをしてから出てきた奥さんに「5日の夜中にこげが息を
引き取ったんで、今まで本当にありがとう。」と言ったとたん奥さんが「なんやて
お父さん、お父さん、こげちゃんが、こげちゃんが」と少し耳の遠い旦那さんに
半泣きで伝えてくれています。旦那さんがこげちゃんがどうしたん、どうしたん、
亡くなったって・・・。毎日、散歩の帰りにこの家に寄って撫でてもらうのが大好き
で、二人が病院とか遠出するときは 明日はおらへんからと連絡くれたり、出かけて
も「こげちゃんに会いたいから 早く帰ってきてん」と言ってくれたり。歩けなくな
って、門のなかにいるときも見に来てくれたりで、伝えるのは辛かったので火葬を
済ませた後で伝えたけど、夕方また「家にいるなら お骨を抱っこさせて」と二人
そろってきてくれました。散歩で一緒に歩いてくれたKさんにも「こげがあちらの世界
に走って行ったよ。いままでありがとう」とメッセージを送りました。暑い日も
寒い日もこげの歩く距離は半端じゃなくどこまでも歩いてくれました。
火葬の翌日、役場に死亡届を出しに行くと係は住民課だったので、カウンターで
「犬の死亡届を出しに来ました」と言ったとたん、机に座っていた職員5,6名が
一気に私を見てきました。「え?もしや 届を出す人が少なくて相当珍しい?のか」
と勘ぐってしまいました。若い職員さんが 用紙を持ってきて「犬の名前は、飼い主
さまのお名前とご住所は?死亡日は?」と書き込んでいきます。電話番号を聞かれた
あと、「鑑札は?」ときかれ「鑑札は丸いほうですね?」「そうです、狂犬病予防接
種済のは骨の形ですね。」「鑑札は没収ですか?」と聞くと「回収です」と言うので
正直、鑑札は思い出だから持っておこうと思っていたところへ、有るか無いかの確認
をされたのでショックで「それを回収されるとは想像してなくて」と答えたら
「もしかしたらご自宅に電話があるかもしれません」とだけ、それどういう意味よ
とは思ったけど、まぁ探してもなかったということにしておこうかなと内心思い、
狂犬病予防注射は高齢でここ数年は接種できてないことばれてるかな、と思っていた
ら「これで今年の接種案内通知は届きません」と言われて帰ってきました。こげが
いなくなっただけでも よろよろなのに・。。。とは思ったのですが、何か 廃棄さ
れる鑑札を使って 悪いことを企む人がいるからなんでしょうね。
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