The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
デルファイの倒産
05.10.14.
米国GMの部品メーカー・デルファイが破綻したとのニュースが先日流れました。
米国経済ひいては世界経済への影響が懸念されるようです。石油逼迫とともに経済への明らかなマイナス要因です。
一般の経済評論家ならば ここまでで良いのかも知れませんが、ISOマネジメントをいささかでも齧った者にとっては、米国自動車産業の 落ち込みは非常に重大な関心事にならざるを得ないと考えるのです。
自動車産業には セクター規格と呼ばれる、ISO/TS16049というISO9001をベースにした 狭くて深いというか バリアーの高い規格要求事項があるのです。これに 最も熱心に取り組んでいたのが、米国の三大自動車会社であると言われています。彼らは 元々 ISO9001をベースにしたQS9000を企画していました。ISO/TS16049は このQS9000にヨーロッパの各国(独,仏,伊)の規格を統合したものであるとされています。
一方、日本の自動車メーカーはいずれも この規格の策定段階から締め出されているのです。どうしてなのか よく分かりませんが、規格策定に関係する機関IATFにも 日本のJAMA(日本自動車工業会)やメーカーは それ程深く関係していないそうです。(認証に関しては仕組みが 通常のISOとは全く異なるのでJABは全く関与しません。UKASやRvAなども同様です。)審査会社や研修機関も欧米系が幅を利かせています。
ところが、最近の報道のように かつて世界最大企業と言われたGMの凋落とそれに引き続いて起きた このデルファイの破綻。一方では ISO/TS16049から締め出された日本の 自動車メーカーは 何故か 元気。特に売上でGMを猛追するトヨタはISO9001にも それほど積極的でないと まで言われています。事実は 存じませんが。
つまり世界的な自動車業界の現象を包括的・表層的に見ると、ISOマネジメントに熱心な米国企業が 凋落し、不熱心な日本企業が 有卦に入っているという状態なのです。
これは どういうことなのか。ISOマネジメントは 企業の繁栄にとってマイナスなのか。
私は この現象はISOマネジメントに対する考え方の違いからくる問題ではないか、と憶測しています。ISO/TS16049は ある種過大な要求を掲げて、供給者に迫るという性質を持っています。
この対応は、ある面で 品質マネジメントの原則の8番目の項目(h.供給者との互恵関係/組織及びその供給者は独立しており、両者の互恵関係は両者の価値創造能力を高める。)に対して 間違っているように思うのです。つまり、供給者との互恵関係をないがしろにしている、端的に言えば、この規格が自動車メーカーとしての最終製品に対する責任回避の道具になっているのではないか、という懸念です。
近年、フォードと フォードにタイヤを供給していたファイアー・ストンとの間で トラブルがありました。ファイアー・ストンのタイヤを履いた エクスプローラーというフォードの車に事故が多発した、と言う事件です。これには、ファイアー・ストンの親会社のブリジストンが 折れて問題は 解決したことになっていますが、世間では フォードの設計が タイヤの設定圧を間違えていたことが原因であったとされています。
こういうように 米国自動車メーカーは 供給者を 単に買い叩くだけ、自分たちは買って来た部品を組み立てるだけ、に終始していたのではないのか、という疑念があります。ISO/TS16049は その道具でなかったのか、と思うのです。
米国の一つの事件だけ取り上げて 米国自動車業界全体をそうだと、思い込むのも問題かもしれませんが、少なくともこういう雰囲気の中では 良い製品は 作れませんヨネ。自らの製品に対する 愛情も感じられません。単なる金儲け。このような 精神の退廃が凋落を招いているのではないか、と思うのです。
それに対して 日産を復活させたゴーン氏には 車への愛着があったように思うのです。
さて、今後 日本の自動車メーカーはISO/TS16049に対して どのような対応を取る おつもりなのでしょうか。
米国GMの部品メーカー・デルファイが破綻したとのニュースが先日流れました。
米国経済ひいては世界経済への影響が懸念されるようです。石油逼迫とともに経済への明らかなマイナス要因です。
一般の経済評論家ならば ここまでで良いのかも知れませんが、ISOマネジメントをいささかでも齧った者にとっては、米国自動車産業の 落ち込みは非常に重大な関心事にならざるを得ないと考えるのです。
自動車産業には セクター規格と呼ばれる、ISO/TS16049というISO9001をベースにした 狭くて深いというか バリアーの高い規格要求事項があるのです。これに 最も熱心に取り組んでいたのが、米国の三大自動車会社であると言われています。彼らは 元々 ISO9001をベースにしたQS9000を企画していました。ISO/TS16049は このQS9000にヨーロッパの各国(独,仏,伊)の規格を統合したものであるとされています。
一方、日本の自動車メーカーはいずれも この規格の策定段階から締め出されているのです。どうしてなのか よく分かりませんが、規格策定に関係する機関IATFにも 日本のJAMA(日本自動車工業会)やメーカーは それ程深く関係していないそうです。(認証に関しては仕組みが 通常のISOとは全く異なるのでJABは全く関与しません。UKASやRvAなども同様です。)審査会社や研修機関も欧米系が幅を利かせています。
ところが、最近の報道のように かつて世界最大企業と言われたGMの凋落とそれに引き続いて起きた このデルファイの破綻。一方では ISO/TS16049から締め出された日本の 自動車メーカーは 何故か 元気。特に売上でGMを猛追するトヨタはISO9001にも それほど積極的でないと まで言われています。事実は 存じませんが。
つまり世界的な自動車業界の現象を包括的・表層的に見ると、ISOマネジメントに熱心な米国企業が 凋落し、不熱心な日本企業が 有卦に入っているという状態なのです。
これは どういうことなのか。ISOマネジメントは 企業の繁栄にとってマイナスなのか。
私は この現象はISOマネジメントに対する考え方の違いからくる問題ではないか、と憶測しています。ISO/TS16049は ある種過大な要求を掲げて、供給者に迫るという性質を持っています。
この対応は、ある面で 品質マネジメントの原則の8番目の項目(h.供給者との互恵関係/組織及びその供給者は独立しており、両者の互恵関係は両者の価値創造能力を高める。)に対して 間違っているように思うのです。つまり、供給者との互恵関係をないがしろにしている、端的に言えば、この規格が自動車メーカーとしての最終製品に対する責任回避の道具になっているのではないか、という懸念です。
近年、フォードと フォードにタイヤを供給していたファイアー・ストンとの間で トラブルがありました。ファイアー・ストンのタイヤを履いた エクスプローラーというフォードの車に事故が多発した、と言う事件です。これには、ファイアー・ストンの親会社のブリジストンが 折れて問題は 解決したことになっていますが、世間では フォードの設計が タイヤの設定圧を間違えていたことが原因であったとされています。
こういうように 米国自動車メーカーは 供給者を 単に買い叩くだけ、自分たちは買って来た部品を組み立てるだけ、に終始していたのではないのか、という疑念があります。ISO/TS16049は その道具でなかったのか、と思うのです。
米国の一つの事件だけ取り上げて 米国自動車業界全体をそうだと、思い込むのも問題かもしれませんが、少なくともこういう雰囲気の中では 良い製品は 作れませんヨネ。自らの製品に対する 愛情も感じられません。単なる金儲け。このような 精神の退廃が凋落を招いているのではないか、と思うのです。
それに対して 日産を復活させたゴーン氏には 車への愛着があったように思うのです。
さて、今後 日本の自動車メーカーはISO/TS16049に対して どのような対応を取る おつもりなのでしょうか。
コメント ( 2 ) | Trackback ( )
« 村上ファンド | 技術コンサル... » |
大変興味深い内容です。私はGM、デルファイと在籍中にはすっかりGM文化に染まってしまい、木を見て森を見ずという状態で仕事をしていました。確か、1997年だったかと思いますが、ISO9001導入の為に米国本社より送られてきた分厚いマニュアルを読んで社員に教育をしなければならない役を担っていました。このISOが当時どう役に立つのかわからないままなんとか認証を取り付けましたが、腑に落ちないまま退職しました。おっしゃるとおりにISOに熱心にに取り組んでいる米3大自動車メーカーが不調で日本のメーカーが元気であるということは何かあるのでしょう。
”この規格が自動車メーカーとしての最終製品に対する責任回避の道具になっているのではないか、という懸念です。”という点については私には確信はありませんが。。。
しかし、今回はその原因を 記事に書いたように外側の要因として憶測してしまいました。是非 真相が知りたいところです。
関係者の方々の間で、何か お判かりでしたら 是非 お教えいただきたい、と存じます。ヨロシクお願い申し上げます。