The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
“ISOを活かす―34. 信頼性試験もISOで確実に管理することによって、品質を保証する”
今回は 信頼性試験のあり方が テーマです。
【組織の問題点】
3年前にISO9001の認証を取得した工作機械メーカーA社では、工程内検査と最終検査を行っていますが、それ以外に信頼性試験を実施しています。この信頼性試験は、製品の出荷可否判断のための検査ではないため、品質マニュアルには記載されていません。また、信頼性試験の結果が出るのには約1ヶ月かかるのですが、不良が出た場合は、その原因を究明して対策をとるとともに、すでに出荷済みの製品への影響を調べて対応をとることなっています。
このISOの範囲に含まれない信頼性試験への対応が手薄になってきているため、A社内では問題になっているとのことで、ISO上ではどのように扱うべきか、という課題です。
【ISO活用による解決策】
著者・岩波氏は “信頼性試験は、「製品の監視・測定」(8.2.4項)でも「プロセスの監視・測定」(8.2.3項)でも構わない” と述べています。
信頼性試験は、「製品の監視・測定」であれば 本来は、“信頼性試験の結果が出る前に出荷してはいけないことになります。” と述べています。しかし、8.2.4項の最後に “ただし、当該の権限をもつ者が承認したときは、この限りではない。” と規定していると指摘しています。
また、「プロセスの監視・測定」であれば、“プロセスの監視・測定によって「計画どおりの結果が達成できない場合には、製品の適合性の保証のために、適宜、修正及び是正処置をとること。」と(ISO9001は8.2.3項で)述べています。”
そして、“信頼性試験は、製造工程の維持と製品の品質保証の両面で重要な役割を果たすものです。” “信頼性試験はISOのシステムのなかに確実に取り込んで管理することです”と言っています。
【ポイント】
ここでの、著者による総括は 次の通りです。
【磯野及泉のコメント】
著者・岩波氏の指摘は ISO上は 支持しうる見解だと思います。
ところで信頼性試験についてですが、実際には どのようなものなのでしょうか。このA社では具体的にどんな試験を行っているのか不明なのでコメントが難しいです。いずれにせよ、何らかの寿命試験というか、劣化対応試験でしょうか。
品質工学を用いても、対象となる系そのものの本質(基本機能)を見極めて実験方案を 策定しないと難しいテーマではあります。特に 劣化現象についてその現象の本質を見極めることは難しい問題ですが、品質工学を適用して、ロバストな 製品を作り込み、信頼性試験を省略する方向で 努力はするべきでしょう。品質工学の事例集には 結構 成功事例が ありますので 似た事例があれば幸いでしょう。一旦、ロバストな 製品を作ることができれば、かなり信頼性試験実施の負荷を軽減できたという事例が 多いようです。
具体的な ことが不明の この事例では 私には この程度のコメントしかできません。
ISO9001の観点からは 著者の指摘は 適切と考えますし、ロバストな製品が 作れたとしても、どの程度まで信頼性試験実施の負荷を軽減するのかは、慎重に見極める必要が あるでしょう。
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