徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

毎日排便のない子どもは4割

2011年12月02日 06時12分01秒 | 小児科診療
 大塚製薬が医師とタイアップして行った調査で、件名の事実が判明しました。

「子どもの排便状況と食物繊維の摂取」に関する実態調査(2011.12.1)
 毎日の排便がない小学生は約4割
 毎日の排便がない子どもの約6割の母親は食物繊維不足を実感


 大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岩本太郎)は、松生クリニック(東京都)の松生恒夫院長監修のもと、ベネッセコーポレーション運営の女性クチコミサイト「ウィメンズパーク」* にて6~12歳の子どもをもつ女性1,162名を対象に、「子どもの排便状況と食物繊維の摂取」に関する実態調査を行いました。

図 あなたのお子様は、この一週間に何回、排便がありましたか? SA (n=1,162)


 その結果、小学生の約4割が1日1回の排便がなく、現代の子どもたちの排便状況は決して良いとは言えないことが分りました。また、排便1日1回未満の子どもの母親の6割以上(62.1%)が子どもの食物繊維不足を実感している一方で、「子どもの排便状況の改善」を考えている母親は全体の約2割(21%)に留まり、全体的に意識が低いことが明らかになりました。


 この記事の中で医師がコメントされているように、子どもの便秘の相談は実に多い。私の医院を受診される患者さんは主に乳幼児ですが、お母さんの目が行き届く年齢なので、数日間排便がないと受診されます。

 食生活の改善を指導しても便秘が続く場合は下剤を利用して便通を調整します。でも、下剤を使うとお腹が痛くなってしまう、下剤や浣腸をずっと手放せなくて困る場合は、私は漢方薬を勧めています。飲むのにちょっとハードルがありますが、体にあった漢方が見つかると副次的な効果もあるので患者さんに喜ばれています。

 漢方薬を使うようになってから、乳幼児の便秘には(漢方的視点から)いくつかパターンがあることに気づきました。

□ 「赤ちゃん便秘
・・・乳児期前半は排便回数は少ないのですが、決して硬くはなりません。下剤ではなく昔からある赤ちゃんの便秘薬:滋養糖~マルツエキスなどを中心に使用します。

□ 「虚弱児の便秘
・・・食が細い、線が細い、よくお腹を痛がる(便通が悪い)・・・こんな子どもには漢方薬の小建中湯がぴったり。
 飲んでいると便秘だけでなく「食欲が出て元気になった、お腹も痛がらず、風邪を引いても軽く済むようになった」という声をよく聞きます。

※ TV-アニメ「ちびまる子ちゃん」の登場人物「山根」はこのキャラクターそのもの。昔からこんな子どもはいましたよねえ。彼が登場する度に「小建中湯を飲ませたい・・・」と考えてしまう私(笑)。
 山根君については「ちびまる子ちゃん」の公式HP→ 「キャラクター紹介」→ 「3年4組」→ 「山根」でご覧下さい。

□ 「お腹が張る便秘
・・・お腹がぼてっとしてさわるとフニャフニャで冷え気味、こんなお腹には大建中湯という薬が合います。

□ 「フツーに元気な子の便秘
・・・小柴胡湯という薬で解決することがあります。

 日本の伝統医学である漢方は、ずっと日本の子ども達を見つめてその体に合うくすりを造り、残してきたわけですから、利用しない手はありません。

 
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